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車中泊

災害(東日本大震災・岩手県大槌町)

車中泊とは

 文字通り、車の中で宿泊することです。

 東日本大震災(2011)では津波被害が大きく残念ながら家も自動車も流され学校などの避難所に身を寄せるケースが多かったようですが、熊本地震(2016)では家屋の倒壊は多かったものの自動車は被害を免れたため、大型駐車場に車が溢れる映像が全国に流されました。

 車中泊は『避難所よりまし』という意見が聞かれる一方で快適な我が家とは違い様々な苦痛や課題が潜在しています。



ペット

車中泊が必要な人  

 家屋が倒壊し投げ出されてしまった人は、自宅以外に生活場所を求めなければなりません。仮設住宅が建設されるまでの期間は避難所暮らし、疎開、車中泊などが選択肢になります。

 さまざまな背景はあるにせよ、避難所での集団生活には対応できず、また親戚宅や遠方への疎開が困難な方々が地元で車中泊を選択することになります。

 避難所は人の気配や足音があり、眠れない人がいます。避難所の許容量が超過し入りきれない人がいます。咳が出て周囲に感染させてしまうことを恐れる人がいます。喘息でホコリが苦手な人が居ます。

 最近ではペットを飼っている家庭も多く、一方で避難所は多種多様な方々が生活するスペースとなるため一般的にはペット不可となることがあります。そうした方々も、車中泊が必要になります。







快適な車中泊


オットマン

睡眠

 車の座席は座った状態で快適になるように作られている物が多くを占めます。

 人間の頭は首で支えていますが、座って寝ると頭の重さを支える筋肉が休まらず肩がこったり、脱力によって頭がカクンと下がって目が覚めてしまったりします。電車の中でよく見かける光景です。

 飛行機の長距離フライトでは首・肩の疲労と足が伸ばせない事によるストレスなどが聞かれますが、車中泊でも同様です。

 車中泊で快眠を得るためにはU字型の枕の用意は必須かもしれません。浮輪のように空気を入れて膨らませるタイプであれば保管場所は最小化できます。

 自動車は走行させない状態なのでシートベルトは不要ですので、足を伸ばすための工夫は選択肢が広がります。足元に荷物などを置いて座面と同じ高さにし、腰と足が同じ高さになるだけでも臥床の姿勢に近くなるのでラクになると思われます。 

携帯用首枕 フラットクッション 寝袋
海外旅行のグッズとして総合雑貨店などで販売されている首枕です。座位で熟睡するには不可欠です。 シートの足置き部分に置いて、シート座面と高さをそろえるツールです。長距離ドライブでも重宝します。 特に冬場は有意義です。寝袋自体がクッションになるので凸凹あるシート上でも比較的ラクに寝れます。


災害対策本部

食事

 車中泊に限らず戸外では食事の調達に困ります。

 場合によりますが、避難所に避難している人には炊き出しが配給されても、自宅や指定避難所以外の人には配られない場合もあるので、注意が必要です。

 避難所まで行くのが面倒、行ける距離にない、さらにコンビニ等が閉店していたり在庫ゼロの状況は十分に想定されます。

 自炊は車中泊の選択肢として持たなければなりません。

 バーベキューのように炭で火を起こして食事することもできますが、毎回火を起こす必要があり、災害時に安全に火を使える場所の確保、食事に困っている人が大勢いる中で目立ってしまうこと、限られた車内スペースを機材に占められてしまうことなど課題も山積しています。

 車中で湯沸や炊飯ができる器具がホームセンターやネット通販で売られています。元はトラックドライバーの需要に応じて発売されたそうですが、熊本地震(2016)以降は防災グッズとして注目されています。 

   
タケルくん (直流炊飯器)
 車のシガーソケット(12V/24V)で炊飯ができる装置です。 1.5合炊きと少し小ぶりですが30〜40分で温かいご飯が食べられます。
 運送や営業など車でお仕事をされている方は、常用/非常用が兼用できるアイテムです。
ワクヨさん (直流湯沸器)
 車のシガーソケット(12V/24V)でお湯が沸かせる装置です。 100V用の超高速沸騰とは違いますが、計画的に使えば十分な機能を発揮します。
 赤ちゃんの調乳ポットにも使える常用/非常用が兼用できるアイテムです。

直流家電を提供するJ.P.N(株式会社ジェーピーエヌ)の商品のOEM供給やノベルティ化のご相談などは私たちが橋渡しします。お気軽にご相談ください。

 発災時の電気温水器(貯湯槽)からの水の取出し(取水)方法についてはこちらをご参照下さい。



トイレ

トイレ

 食事は我慢できますが、トイレは我慢にも限界があります。トイレ事情の悪さは悪循環を生み出します。

 水洗ができないので衛生上の問題が発生します。不衛生さやニオイ、便座が無いなどの課題からトイレを敬遠し、水を飲まなくなって脱水や高血圧の誘因ともなり得ます。

 車中泊に携帯トイレは不可欠でしょう。携帯トイレは渋滞中の緊急回避、自宅トイレの故障などにも活躍する常用/非常用が兼用できるアイテムです。

 携帯トイレを用意する前に被災してしまった場合、穴を掘るしか無さそうです。自宅に庭がある方はスコップ(シャベル)があれば難を逃れられますが、公共の施設や他人の土地を掘り返し、排泄する行為はやめましょう。

便器組立(単体完結タイプ) 自己装着(車内で用足し) 既存便器装着(便器が必要)
箱自体が便座になる使い捨て便器のセットです。TVでタレントの勝俣州和さんが熱弁していました。 身体に装着して使うタイプ。ある意味で場所を選びません。凝固剤がすぐに排泄物を固めてくれます。 既存の様式便座に袋をかぶせて使います。凝固剤が糞便を固め、袋で包むことでニオイ漏れを抑えます。
自宅にストックしておくならばコレがお勧めです。安定感があります。家族の人数に合わせて消耗品を買い足してストックしましょう。  車に常備(携行)するならばコレがお勧めです。普段の排泄とはスタイルが異なりますが、非常時なので気にしている場合ではありません。  断水対策として備蓄するには良いと思います。車中泊では自宅に戻れない前提なので活用場所が限られますが便利な一品です。 

 日本トイレ研究所が災害用トイレガイドというサイトを開設しています。そちらもご参照下さい。
 発災時のトイレの流し方・使い方についてはこちらをご参照下さい。



災害対策本部

換気・空調

 車中泊では大きな課題が換気や空調です。限られた燃料を長く維持するためにはアイドリングは避けたいところです。ひしめく駐車場で窓を開けている車があればアイドリングは排気ガスやエンジン音で迷惑の元になります。

 車内の容積はワンボックスカーで7〜8立米(立方メートル)、SUVで4〜5立米、セダンで3〜4立米、軽自動車で2〜4立米程度です。一般住宅で4畳半の部屋でも18立米あり、1畳の部屋が4立米なので乗用車の空間と同等になります。
 換算すると車内の狭さや換気の必要性が理解されやすくなります。

 夏場の外気温は夜間でも30℃以上、更に人間の体表温は36℃あり1.5平米(平方メートル)の体表から放熱されるため車内はすぐに不快になります。

 熱中症や低体温の回避のためにはアイドリング状態で車の空調を使うことをお勧めしますが、エンジン停止でも最低限の快適性を維持するためにはウチワやカイロなど個人用対策グッズの活用、車窓用換気扇の設置、昼間だけでも避難所を利用するなどの対策をとることができます。







車中泊のリスク

静脈血栓塞栓症・DVT・エコノミークラス症候群

 長時間飛行機内で同じ姿勢で居たことで足の血流が悪くなり、元々流れの遅い静脈内に血栓(血の塊)ができてしまい、静脈の下流にある極く細い肺の血管に詰まり塞いでしまうという病気が静脈血栓塞栓症です。英語ではDVT (deep vein thrombosis)なので深部静脈血栓症、また一般人向けにはエコノミークラス症候群としてたびたび啓発されています。

 避難生活、特に車中泊では多くなると言われているDVTの対策としてはとにかくまめに身体を動かすことだそうです。

 トイレに行きたくないから水を飲まないようにしたため血液が濃厚になり、静脈血栓ができやすいような身体になった上での車中泊、最悪なのかもしれません。

 筆者が2011年7月に視察した岩手県の避難所では医師が率先してラジオ体操に誘い、避難所のみなさんで1日1回は身体を動かしたそうです。

 長距離ドライブと同じく、2時間に1回くらいは車外に出て身体を動かしましょう。

 JAL(日本航空)では長距離フライトの乗客向けに『インフライト体操』という動画を用意しています。
インフライト体操[動画](JAL)
機内で行える旅行者血栓症(深部静脈血栓症)の予防対策(JAL)

循環器病あれこれ[78]肺塞栓症
循環器病あれこれ[46]急性肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の話
循環器病あれこれ[52]足の血管病_その検査と治療
循環器病あれこれ[97]脚の静脈の血行障害-静脈瘤
国立循環器病研究センター:肺循環科
国立循環器病研究センター:熊本地震・東日本大震災関連情報


こまめに身体を動かしましょう!


熱中症・脱水症状

 夏場の車内は簡単に体温を超え、直射日光の当たるダッシュボードは70℃を超えることもあります。車内は危険が潜んでいます。

 高齢者は発汗が少なく体温調節が難しいため熱中症リスクが高いと言われ、20代の3倍とも言われています。ご高齢の方の車中泊はDVTリスクとあわせると控えた方が良さそうです。

 人間の体温調節は、暑いときには汗をかいて放熱するので、失った水分は補給しなければなりません。汗がしょっぱいと感じるのは電解質が含まれているためなので、塩飴なども併用してin/outのバランスを取りましょう。


こまめに水分をとりましょう!



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感染症

 災害後の避難所も街も、公衆衛生としては劣悪な環境になっています。水道が使えず手も洗えない、排泄物やゴミは校庭の隅に野ざらし、洪水のあとならば下水が溢れだした跡が残っている、といった状況が想定されます。

 体育館は100人規模の人々が一堂に生活し、掃除も行き届かないのでホコリが舞い、乾燥が続けばインフルエンザなどの感染症は広まりやすさを増します。

 過去の震災では避難所となっていた中学校でノロウイルスの集団感染が発生してしまいました。外野からは手洗いについて厳しい意見が出ていましたが、水道衛生が平時どおりであれば発生しなかったかもしれません。

 もともと避難所に大型冷蔵庫はありませんが、停電により冷蔵庫が使えず食材の劣化も早い中で、物流の悪さから残された食材で調理して食中毒を起こすリスクもあります。

 車中泊はすべてが家族で完結するのであれば感染症を貰ってしまうリスクが避難所に比べて少ないとも考えられますが、一方で狭い車中に数名が居続けることで、家庭内感染のリスクは相当に高まります。

 限られた水源ですがうがい・手洗いはしっかり行い、マスクの着用と車内換気を徹底し、平時以上にリスクに対する意識を持つことが重要です。


マスク・うがい・手洗い、平時以上に自己防衛しましょう!






車中泊の持続性の高い車

駆動装置別自動車の種類

 自動車といえば昔はエンジン式ばかりでガソリン車かディーゼル車かのほぼ2択でした。

 しかしプリウス(トヨタ)に代表されるモーター(電気)とエンジン(燃料)のハイブリッド型が定着し、リーフ(日産)は市民レベルでも乗れる電気自動車として世に広まりました。

 さらに近年では水素自動車と呼ばれる燃料電池車も登場しエンジン部品を作っている企業を脅かす事態にまで発展しています。

 さて本題ですが、車中泊にはどのような車が向いているのか、公的に推奨されるものは無いようです。あくまで緊急避難的なものなので、車中泊のリスクについて啓発する案内が目立ちます。

 ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、電気自動車(EV)などのほか、車中泊では外部から電源や水道などの生活インフラを引き込むタイプの自動車もあります。



勝手に分類・勝手にシミュレーション

 車中泊が話題になったにも関わらず、自動車の車中泊に関する公式データは非常に乏しいのが現状です。

 そこで、自らが被災したときにどの車が良いか、次の車購入時に役立てようと勝手に分類してみました。

 オートキャンプの予定はないのでキャンピングカーなどの外部電源供給車は除外すると、ハイブリッド車か電気自動車が有力候補になります。

 私見では充電ステーションが広がり、災害時の自動車充電の在り方に共通認識が広がれば電気自動車が最適であると考えました。現在、ハイブリッド車を所有していますが安眠中にセルが回ると目が覚めてしまいます。エンジンの動作時間が短いとはいえ騒音も排気もあるので周囲にはある程度の迷惑をかけます。
 ただし、電気自動車が普遍化するまでは燃料調達の容易さや長時間の燃料補給不要であることからハイブリッド車が当面の優位性を持っていそうです。

 1つ再認識したことは『燃料補給はこまめに、タンクはいつも半分以上』を心がけることで災害時に無駄なアイドリングを使ってガソリンスタンドに並ばずに済むと思います。

車中泊の車種別適用(エンジン・ハイブリッド・EV)

↑勝手な表です。信用して使わないように!!






住める車

キャンピングカー

 キャンピングカーは寝泊りや調理ができる車両です。

 ベース車両は軽自動車から大型トラックまで様々です。リビングとベッドルームが別々なものや、壁を倒すとベッドが出てきてリビングが早変わりするものなど内装も様々です。

 道の駅『おおた』(群馬県太田市)ではRVキャンプ専用スペースを設けキャンピングカーの受入れを行っています。ここは災害時避難場所にもなっているので車中泊のモデルとしては参考になるかもしれません。

 車体と一体なので車検、税金、保険が必要です。

日本RV協会
道の駅おおた
国土交通省:自動車の用途等の区分について, キャンピング車



トレーラーハウス

 トレーラーハウスは自走はできませんが、牽引することで道路を走行して移動させることができます。本来は車輪がついています。

 工具を使わずに水道や電気が切り離せることや、車輪が取り付けられていることなどを条件に『車両を利用した工作物』として建築基準法に該当しないそうです。一方で道路運送車両法では保安基準で制限がかけられています。

 個人でトレーラーハウスを所有している場合、災害時には被害の少ない場所や電気・水道が確保できる場所へトレーラーハウスを移動させ生活ができます。

 支援物資として、あるいは仮設住宅として支給される場合には平らな土地にトレーラーハウスを並べていくだけで集落が形成できます。また行政機関や店舗などの仮営業場所としては迅速に開設可能で、かつある程度の広さや設備も確保できるので今後の災害備蓄としては魅力あるアイテムの1つになりそうです。

一般社団法人日本トレーラーハウス協会
日本トレーラーハウス協会:トレーラーハウス設置検査基準マニュアル
国土交通省:トレーラ・ハウスを一時的に運行できるようにするための制度改正(2012年12月27日)




○○○○○○○○イメージ

With T

 熊本地震(2016)では車中泊とともに注目されたテント泊。

 きっかけはアルピニストの野口健さんがベースキャンプに着想を得て熊本県益城町にテント村を開設し、最大600人が生活したことに始まります。
 野口さんが機材や人材を調達して自主的に開設しました。600人は非常に大きい数字ですが、一方で当時の益城町の最大避難者数は1万人超、熊本県全体では発災した4月の最大は18万人、最小でも2万5千人にものぼっています。

 車があるひとは車中泊に、その快適性を高めるにはテント併用に。各自が自衛できれば災害時も一定水準以上の生活が守られると思います。

 自治体にはぜひ車中泊やテント設営を推奨する場所を提示していただき、混乱なく、相互に迷惑や不快なく各々のスタイルが実践できる環境整備をお願いしたいところです。

独立テント(車連結可) 車連結テント テーブル&チェア
本格的なテント。これがあれば車中泊ではなくテントで快適に生活ができます。上図は中は4畳半で天井も1.7mと高めです。 ワンボックスやSUVでハッチを開けて使うタイプのテント。簡便にプライベート空間を広げられて便利。着替えは余裕でできます。 食事などにあると便利。上図は中央にグリルが置けるタイプ。アウトドア用は頑丈なので震災時でも壊れず使える可能性大。

バナースペース

AmpiTa Project

www.ampita.net





医療設備研究班が52時間の停電被災〜備えと対応実践〜 太陽光発電とカセットガス発電機HONDA "enepo" (エネポ) 電気工事士免状取得25年、療養住環境や医療福祉設備の停電対策を研究してきたAmpiTa研究班が被災。研究成果の活用や失敗を紹介します。