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平時の生活では快適な温度管理、夜間でも明るい部屋、コンセントに挿せば電気が使える、などということは普遍的になっています。
しかしながら災害が起きれば夜は真っ暗闇、消火活動は滞るため火災発生や延焼を防止するためガスは止められ、光や熱は市民から遠ざかります。
キャンプでも行われる焚火は光と熱を得られる簡便な手段ですが、取り扱いを誤れば火災につながる懸念があります。
私たちは電気の安全性や多用性の良い点を活かしつつ、強靭性や冗長性に優れた燃料発電機を組み合わせた光熱確保を研究・推奨しています。
発災後の入手困難アイテムですが、さらに困難性が増しています。
若者の自動車離れ、団塊世代の免許返納など自動車が売れなくなりつつある時代に、自動車の低燃費化や電気自動車普及が重なり、さらに安全基準の厳格化によりガソリンスタンドの数は減少傾向にあります。
店舗数が減り、店頭在庫も減るガソリンスタンドへ発災後に駆け付けても入手は困難です。
将来的には人命救助のための医療班や重機班への燃料提供が優先され、発災直後に在庫が凍結される可能性もあります。
ガソリンスタンドの中には『災害対応』を掲げる店舗があります。給油には電動ポンプが使われ、会計システムや消火設備なども電力依存です。つまり、停電には弱いということになりますが、災害対応ステーションでは停電時も給油ができます。
地震や竜巻などの被害を受けると家や倉庫の中は物が折り重なり大変な状態になってしまいます。その状況でもガソリンを安全な状態で保つ必要があります。
消防ではガソリンの備蓄を『極力控えて』とアナウンスしています。近所で火災が発生し高温が迫るだけでもガソリンの揮発性が高まり爆発の恐れがあるそうです。
ガソリンの備蓄には必ず専用の金属製容器(携行缶)を用いましょう。灯油で用いるポリタンクは禁止されています。
携行缶への給油はガソリンスタンドのスタッフがしなければなりません。セルフスタンドで自ら給油することはできません。必ずスタッフに相談しましょう。
ガソリン備蓄に必要なアイテムをご紹介します。『遠方避難』や『カセットガス』もお勧めです。
ガソリン携行缶 | 給油ポンプ | ABC粉末消火器 |
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消防法適合の金属製ガソリン携行缶です。あまり大きいと給油や運搬の際に男手が必要になりますし、火災に見舞われたときのリスクが高まります。 | 給油する際に必須です。一般的な灯油用に比べてホースが長いです。 | ガソリンの消火に使えるABC粉末消火器。別な種類で『機械泡』消火器でもガソリン(油)火災に対応できます。 |
日本経済新聞:京都の露店爆発、死者3人に 携行缶近くで被害か (2013年8月20日)
総務省消防庁:ガソリン携行缶の安全対策について
ガソリンや車の使用目的を考えましょう。
車中泊をするのであれば、新たな避難場所確保まで72時間とした場合、アイドリングでの燃費×72時間、仮に1時間1リットルでも72リットル必要になり、一般的には満タン状態の燃料を上回ってしまいます。
すなわち、72時間の車中泊には給油が不可避、あるいは途中でエンジンを切る必要があります。
では、タンク残量40リットルで72時間維持するにはどうすれば良いか。単純には 72-40=32 ということで32リットル分、32時間、1日あたり11時間のアイドリングストップが必要です。
朝7時から夜7時までは公共の避難所で過ごすか、職場や学校へ行くなどして車内から出ておくことで3日間は過ごせることになります。
車中泊では横にテントを張るなど、工夫が必要なようです。
現行の避難の在り方については議論が必要ですが、状況としては地方自治体単位での考えに留まり、例えば大洪水で居住地域の避難所が冠水してしまっても、隣町の体育館は避難所では無いので避難させてもらえません。
今後、避難先の広域化、自治体相互連携の緊密化や避難場所融通が進めば自動車で遠方へ避難するという考え方が広まる可能性があります。
個人のガソリン備蓄も、災害の被害が無い遠方の町まで行ければ良いという事になり、低燃費車がより優位になります。
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県沿岸部。例えば釜石市から内陸の盛岡市までは約100km、被害の無かった日本海側まで出ても秋田市で200kmの道程です。冬場の山道を考慮して1.5倍の燃費を見込んでも1リットル15km走行の自家用車で20リットルの残量があれば釜石市⇒秋田市へ到達できます。
熊本地震のあった熊本市から福岡県博多まで約100km、燃費5km/Lの大型車でも20リットルの燃料で到達でき、博多まで行けばガソリンスタンドも平常通りであったので、遠方避難は今後の選択肢とも考えられます。
*.トヨタプリウスの燃料タンクは45L、クラウンハイブリッドで65L、アルファードは75L
都市ガスとプロパン、どちらが良いか議論が分かれるところです。
プロパンはボンベさえあればどこでも使え、地震のあとでも漏れがなくガスメーターが正常状態へと復旧できれば使用が開始できます。ただしボンベの充填量が最大使用量であり、次の供給が途絶えればそこで終わりです。
都市ガスは一定レベル以上の配管は阪神淡路大震災や東日本大震災でも停止することなく供給が続けられました。また東日本大震災の際には、仙台の海岸線にあるガスタンクが被災したことから、仙台から新潟へ送るガスパイプラインを逆送させ新潟から仙台へガス供給され都市ガスの冗長性が明らかになりました。ただし、配管断裂や点検実施までの期間供給が停止した地域もありました。
都市ガスの供給により病院の自家発電装置が動作し続けられたとの報告もあり、ガスは調理だけでなく災害時の人命にも大きく関与していました。
長期保管性に優れ、価格も比較的安価です。ボンベは1本100円くらいで百円均一やコンビニでも販売されています。
カセットガスを使うには対応したカセットコンロが必要です。一般的に鍋などの調理に使うコンロはホームセンターなどで3,000円くらいで売ってます。特殊な物では焼き目を付けるバーナーや本格アウトドア用の器具があります。
カセットガスは2〜3人の家族で1日1本程度を目安に、レトルト食品やカップ麺など調理する予定の食材に合わせて追加しましょう。
カセットガスの応用ではHONDAの発電機『ENEPO』(エネポ)がお勧めです。写真は我が家の所有物ですが、この装置と20本ほどのカセットガスを備蓄しています。カセットガスが劣化しないよう、定期的な入れ替えを目的にカセットコンロ用のたこ焼き器(鉄板)を購入し、ときどき使用しています。
古典的な燃料で、長期保管にも向いています。
アウトドアでのBBQ用にホームセンターでも安価で販売されているので入手も容易です。
着火に多少のコツが要りますが、一度点火できれば調理用のみならず暖房としても利用できます。
屋内使用では不完全燃焼による一酸化炭素中毒の恐れがありますので、必ず屋外で使用します。また見た目では燃えている感じがしないので、子供たちが触ってしまわぬよう対策が必要です。
失った熱源を補い、既存の電化製品などのアイテムを活かし、動力源となる燃料の保管や安全が良好であることを基準に厳選したアイテムです。
どれもホームセンターやネット通販で販売されている家庭用品レベルです。取扱いも簡単です。
カセットガス発電機(携行型) | ガソリン12V発電機(携行型) | 消火器 |
壁のコンセントと同じ100Vの電源が取れる携行型発電機です。最大負荷(900VA)で1.1時間、負荷抑制時は2.2時間動作。原付がアイドリングしているくらいの騒音はありますが排気ガスはさほど臭くないです。研究用にENEPOを保有し活用しています。 | 車のシガーソケットと同じ12Vの電源が取れる発電機です。車をアイドリングすることなく、12V用の各種器具が使えます。アダプタでUSBのDC5Vにも変換できます。連続4時間の動作。 | 余震が続く大震災後などで二次災害としておそれられる火災。交通寸断や断水により消火活動は難航するため消火器は手元に必須のアイテム。最近はデザインの良い物も発売され家庭備蓄にも最適です。 |
2016年度においてエネルギー需給に関して講じた施策の状況, 国内エネルギー供給網の強靭化(資源エネルギー庁・2017年3月)
平成28年熊本地震における緊急石油供給について(資源エネルギー庁・2016年5月17日)
安定供給確保のための強靭な石油・LPガスサプライチェーンの構築について(資源エネルギー庁・2015年9月17日)
防災対応型スマートイオン1号店『イオンモール大阪ドームシティ』 イオンと大阪ガスが防災対応型店舗の実現に向け協働!(イオン・大阪ガス・2013年5月21日)
東日本大震災における石油業界の対応と提言(石油連盟・2011年11月)
ガソリン携行缶の安全対策について(総務省消防庁)
ガソリンや電気_被災地へ安定供給_経産省、業界と連携(日本経済新聞・2016年4月17日)
災害時、ヘリ初動体制拡充_県全域の中継映像伝送/備蓄燃料3倍、300キロリットルに_食料備蓄、最低7日分に_県民に呼び掛け_県、南海トラフ地震に備え(日経・静岡・2014年8月7日)
災害_ガソリン届けやすく_政府、元売り認定へ_車両通行など(日本経済新聞・2014年5月16日)
災害時に燃料、相互供給_新潟市水道局と覚書_静岡市上下水道局(日経・静岡・2014年2月6日)