本文へスキップ

ヘルスケアサービスの現場課題解消のためのタスクフォース

医療機器安全管理ME Management for Patient Safety

 2018年6月に厚生労働省が発出した『医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について』(医政地発0612第1号/医政経発0612第11号)には別添資料がありました。

 ここでは別添1『医療機関における放射線関連機器等の保守点検指針』についてご紹介します。

[出典]平成29年度厚生労働行政推進調査『中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究』:医療機関における放射線関連機器等の保守点検指針:2018年





別添1

医療機関における放射線関連機器等の保守点検指針

平成30年3月

平成29年度厚生労働行政推進調査

『中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究』

研究代表者  菊地 眞


目次

1.目的

2.保守点検の点検項目および実施内容

1)CT装置の保守点検
A.検査室・設備他に関する点検
B.CT装置に関する点検項目
C.関連装置に関する点検項目
D.その他
2)MR装置の保守点検
A.検査室・設備他に関する点検
B.MR装置に関する点検項目
C.関連装置に関する点検項目
D.その他

3.保守点検の記録

4.今後、検討すべきこと

保守点検チェックリストの参考例

【別添1】CT装置に係る保守点検チェックリスト<参考例>
【別添2】MR装置に係る保守点検チェックリスト<参考例>



1.目的

 医療機器の保守点検の実施にあたっては、医療機関において計画を策定する必要がある1。具体的には平成19年3月30日付医政指発第0330001号・医政研発第0330018号通知2により、医療機器の特性等に鑑み、保守点検が必要と考えられる医療機器については、機種別に保守点検計画を策定することが求められている。
本指針は、医療機関におけるCT装置およびMR装置の保守点検の計画策定における点検項目として参考とすべき内容を取りまとめたものである。


■本指針の取りまとめにあたって

 本指針の取りまとめにあたっては、はじめに点検項目の整理を行い、本指針取りまとめ方針を研究班により検討して、取りまとめ作業を行った。

1)点検項目の整理

① 次に示す既存のガイドライン、各社製品の添付文書や取扱説明書の保守点検などの項に記載されている点検項目を整理した。
 作成団体 ガイドラインなどの名称  作成時期 
放射線業務の安全管理指針策定合同プロジェクト班 放射線業務の安全の質管理指針 平成19年
放射線業務医療安全確保のためのチェックシート改訂3団体合同班 放射線業務の安全の質管理マニュアルVer.2 平成28年
(公社)日本診療放射線技師会機器管理士分科会 X線CT装置始業・終業点検実施記録 平成29年
(社)日本診療放射線技師会機器管理士分科会 MR装置始業・終業点検実施記録 平成23年
(一社)日本画像医療システム工業会法規・経済部会安全性委員会 CT装置引渡しにおけるガイドライン 平成28年
(社)日本画像医療システム工業会法規・安全部会安全性委員会 MR装置引渡しにおけるガイドライン 平成18年
 なお、添付文書や取扱説明書については、直近の5年間(平成24−29年)に製造販売認証を取得したCT装置およびMR装置のうち、(一社)日本画像医療システム工業会、(一社)米国医療機器・IVD工業会および欧州ビジネス協会の協力を得て、加盟企業が取り扱う代表的な機種として、CT装置5社5製品、MR装置5社6製品について記載内容をかくにんした。
② ①の結果について、点検箇所および点検項目の2つに着目して再整理を行った。
点検項目 ア.検査室、設備他 
  イ.装置本体
  ウ.関連装置他
点検目的 ア. 検査室内の環境整備、使用物品やリネンの準備などの項目
  イ.患者に接する部分の動作や破損の有無など、安全に検査を実施するための項目
  ウ.画質や各種関連装置の動作など、適切に検査を実施するための項目
③ さらに、次の点検の頻度によって、識別を行った。
ア.毎日の点検(始業点検、終業点検)
イ.週単位の点検
ウ.月単位の点検
エ.その他(例えば、各ガイドラインや各取扱説明書などによって、点検の要否や頻度が異なっているなど、分類が困難であった項目)

2)本指針取りまとめに向けた方針

 本指針は、日常的に、毎日、実施可能な最低限の要求水準について、まず取りまとめることとした。それ以外については、今後、さらに検討を深めることとした。点検内容は、施設内で個別のスタッフが目視で実施できることとし、その他の人員等により実施される可能性のある項目とは分けて記載した。なお、検討にあたっては、放射線機器等を取り扱う専門家の意見を参考にするために(公社)日本放射線技術学会に意見聴取を実施し、研究班において議論の上、反映などを行った。
また、点検頻度に明確な定めがない項目やメーカや機種ごとに異なっている項目については、保守の範疇として整理できないものも含まれている可能性があるため個別的に反映せず、添付文書等を参照する旨を記載した。

1 医療法施行規則第1条の11第2項第3号ロ医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施(従業者による当該保守点検の適切な実施の徹底のための措置を含む。)

2 平成19年3月30日付医政指発第0330001号・医政研発第0330018号厚生労働省医政局指導課長・厚生労働省医政局研究開発課長通知「医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について」



2.保守点検の点検項目および実施内容

 CT装置およびMR装置の保守点検の点検項目および実施内容について示す。
 なお、装置の構造や特性による違いから機種別に異なる点検項目もあることから、各装置の添付文書や取扱説明書などを参考する必要がある。その他、団体などが作成している各種のガイドラインや点検チェックリストなども参考にすることが望ましい。

1)CT装置の保守点検

 以下に、A.検査室・設備他、B.CT装置、C.関連装置、D.その他に分けて、点検すべき項目を列挙する。各点検項目の前に記した〈始業〉は始業点検、〈終業〉は終業点検を示している。
 なお、終業時には各部の清掃や消毒などを行うこと。

A.検査室・設備他に関する点検
(1)検査室内
①〈始業〉温度・湿度がCT装置の使用条件を満たしていること
②〈始業〉各機器の配置が適切であり、動作範囲内に障害物がないこと
③〈始業〉検査室内が清掃、整理・整頓され、不審物等がないこと
④〈始業〉照明が点灯していること
⑤〈始業〉検査室の使用中灯が点灯していること
(2)患者用インターホン、患者監視用モニタやマイクシステム、緊急コールボタンなど
①〈始業〉患者用インターホンが正常に動作すること
②〈始業〉患者監視用モニタやマイクシステムが正常に動作すること
③〈始業〉緊急コールシステムが正常に動作すること
(3)造影剤や診療材料など
①〈始業〉造影剤や診療材料などが補充されていること
②〈始業〉患者急変時に対応するための準備が整っていること(救急カートや医薬品など)
③〈始業〉シーツ、カバー、検査衣などが交換・補充がされていること
(4)医療ガス設備
①〈始業〉医療ガス設備(酸素や吸引など)が正常に機能すること

B.CT装置に関する点検項目
(1)コンソール
①〈始業〉システム電源ON後、コンソールが正常に動作すること
②〈始業〉各種表示灯が正常に点灯し、警告やエラーメッセージが表示されていないこと
③〈始業〉異常音や異臭がないこと
④〈始業〉ハードディスクの残容量が充分であること
⑤〈終業〉コンソールが正常に終了すること
⑥〈終業〉撮影済みの画像に未転送や未処理がないこと
⑦〈終業〉システムの時計の時刻に誤差がないこと
(2)X線管ウォームアップ、エア・キャリブレーション
①〈始業〉X線管ウォームアップが正常に終了すること
②〈始業〉エア・キャリブレーションが正常に終了すること
(3)ガントリ、寝台
①〈始業〉ガントリや寝台に破損や変形、汚れ、針などの異物や障害物がないこと
②〈始業〉ガントリチルトが正常に動作すること
③〈始業〉寝台の上下動・水平動が正常であること
④〈始業〉ガントリや寝台のインターロックが正常に動作すること
⑤〈始業〉患者周辺部の保護機能(タッチセンサー等)が正常に動作すること
(4)ポインタ
①〈始業〉ポインタが点灯し、左右ずれがないこと
(5)画質
①〈始業〉ファントムをスキャンし。CT値にSD値が適正であること
②〈始業〉ファントムをスキャンした画像にムラがないこと
③〈始業〉ファントムをスキャンした画像にアーチファクトがないこと
(6)警告ラベル
①〈終業〉警告ラベルに汚損やはがれがないこと

C.関連装置に関する点検項目
(1)造影剤注入器
①〈始業〉造影剤注入器やCO2自動注入器が正常に動作すること
②〈終業〉造影剤注入器やCO2自動注入器が正常に終了すること
(2)HIS-RIS
①〈始業〉HIS-RISが正常に動作すること
②〈終業〉HIS-RISが正常に終了すること
(3)イメージャ、現像機
①〈始業〉イメージャや現像機が正常に動作すること
②〈終業〉イメージャや現像機が正常に終了すること
(4)PACSおよびワークステーションなど、その他の関連装置
①〈始業〉PACSおよびワークステーションなど、その他の関連装置が正常に動作すること
②〈終業〉PACSおよびワークステーションなど、その他の関連装置が正常に終了すること
(5)撮影補助用具、固定用補助具
①〈始業〉各撮影補助用具および各固定用補助具の定数が揃っており、破損や変形、汚れがないこと
(6)X線プロテクタ
①〈始業〉X線プロテクタの定数が揃っており、破損や汚れがないこと
D.その他
(1)その他の人員等による保守点検
①施設内の個別のスタッフ以外の人員等により実施される可能性のある保守点検内容を把握していること。
例)分解作業を伴う機能の確認、入力電圧・漏れ電流の確認、他

2)MR装置の保守点検

以下に、A.検査室・設備他、B.MR装置、C.関連装置、D.その他に分けて、点検すべき項目を列挙する。なお、各点検項目の前に記した〈始業〉は始業点検、〈終業〉は終業点検を示している。
なお、終業時には各部の清掃や消毒などを行うこと。

A.検査室・設備他に関する点検
(1)検査室内
①〈始業〉温度・湿度がMR装置の使用条件を満たしていること
②〈始業〉検査室内の酸素濃度が正常であること
③〈始業〉各機器の配置が適切であり、動作範囲内に障害物がないこと
④〈始業〉検査室内が清掃、整理・整頓され、不審物等がないこと
⑤〈始業〉検査室内に磁性体がないこと
⑥〈始業〉照明が点灯していること
⑦〈始業〉検査室の使用中灯が点灯していること
(2)患者用インターホン、患者監視用モニタやマイクシステム、緊急コールシステムなど
①〈始業〉患者用インターホンが正常に動作すること
②〈始業〉患者監視用モニタやマイクシステムが正常に動作すること
③〈始業〉緊急コールシステムが正常に動作すること
(3)造影剤や診療材料など
①〈始業〉造影剤や診療材料などが補充されていること
②〈始業〉患者急変時に対応するための準備が整っていること(救急カートや医薬品など)
③〈始業〉シーツ、カバー、検査衣などが交換・補充がされていること
(4)医療ガス設備
①〈始業〉医療ガス設備(酸素や吸引など)が正常に機能すること

B. MR装置に関する点検項目
(1)コンソール
①〈始業〉システム電源ON後、コンソールが正常に動作すること
②〈始業〉各種表示灯が正常に点灯し、警告やエラーメッセージが表示されていないこと
③〈始業〉異常音や異臭がないこと
④〈始業〉ハードディスクの残容量が充分であること
⑤〈終業〉コンソールが正常に終了すること
⑥〈終業〉撮影済みの画像に未転送や未処理がないこと
⑦〈終業〉システムの時計の時刻に誤差がないこと
(2)ガントリ、寝台
①〈始業〉ガントリや寝台に破損や変形、汚れ、針などの異物や障害物がないこと
②〈始業〉ガントリ内の照明や送風機が正常に動作すること
③〈始業〉寝台の上下動・水平動が正常であること
④〈始業〉ガントリや寝台のインターロックが正常に動作すること
⑤〈始業〉ケーブル類に挟み込みや折れ、被覆破損がないこと
(3)ポインタ
①〈始業〉ポインタが点灯し、左右ずれがないこと
(4)ヘリウム残量、冷凍機、冷水機など
①〈始業〉機械室の温度・湿度が装置の使用条件を満たしていること
②〈始業〉ヘリウム残量が十分であり、急激な減少傾向がないこと
③〈始業〉冷凍機、冷水機が正常に動作していること
④〈始業〉各キャビネットの冷却ファンが正常に動作していること
(5)画質
①〈始業〉ファントムをスキャンし、SN比が適正であること
②〈始業〉ファントムをスキャンした画像にムラがないこと
③〈始業〉ファントムをスキャンした画像にアーチファクトがないこと
(6)警告ラベル
①〈終業〉警告ラベルに汚損やはがれがないこと

C.関連装置に関する点検項目
(1)造影剤注入器
①〈始業〉造影剤注入器が正常に動作すること
②〈終業〉造影剤注入器が正常に終了すること
(2)HIS-RIS
①〈始業〉HIS-RISが正常に動作すること
②〈終業〉HIS-RISが正常に終了すること
(3)イメージャや現像機
①〈始業〉イメージャや現像機が正常に動作すること
②〈終業〉イメージャや現像機が正常に終了すること
(4)PACSなど、その他の関連装置
①〈始業〉PACSおよびワークステーションなど、その他の関連装置が正常に動作すること
②〈終業〉PACSおよびワークステーションなど、その他の関連装置が正常に終了すること
(5)撮影補助用具、固定用補助具
①〈始業〉各撮影補助用具および各固定用補助具の定数が揃っており、破損や変形、汚れがないこと

D.その他
(1)その他の人員等による保守点検
①)施設内の個別のスタッフ以外の人員等により実施される可能性のある保守点検内容を把握していること。
例)分解作業を伴う機能の確認、入力電圧・漏れ電流の確認、他


3. 保守点検の記録

 保守点検の適切な実施にあたっては、平成19年3月30日付医政指発第0330001号・医政研発第0330018号通知2において、次のとおり、点検結果を記録することとなっている。記録は、以下の事項が把握できるように行うことが求められている。

①医療機器名
②製造販売業者名
③型式、型番、購入年
④保守点検の記録(年月日、保守点検の概要及び保守点検者名)
⑤修理の記録(年月日、保守点検の概要及び保守点検者名)

 上記④の保守点検の記録については、【別添1】および【別添2】に例示した様式を参考に作成されたい。なお、記録様式の作成にあたっては、装置の構造や特性による違いから機種別に異なる点検項目もあることから、各装置の添付文書や取扱説明書などを参考する必要がある。



4.今後、検討すべきこと

 今回、CT装置およびMR装置の保守点検指針を作成するにあたり、機種により異なる内容、その他の人員等により実施される可能性のある内容については議論が不十分であった。また、CT装置とMR装置以外の製品群についても対象としなかった。今後、これらの保守点検のあり方についても、議論を深める必要がある。






研究代表者 菊地 眞 公益財団法人医療機器センター
研究協力者 市川朝洋 公益社団法人日本医師会
  加納繁照 四病院団体協議会
  熊代正行 公益社団法人日本診療放射線技師会
  中村泰彦 公益社団法人日本診療放射線技師会
協力団体 公益社団法人日本放射線技術学会 
オブザーバー 一般社団法人日本画像医療システム工業会
  一般社団法人米国医療機器・IVD工業会
  欧州ビジネス協会EBC医療機器・IVD委員会

以上







 厚生労働省が発出した『医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について』(医政地発0612第1号/医政経発0612第11号)は2007年の通知を周知するものでした。

名称・内容・説明 サイズ リンク 日付
医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について 231KB
2018/06/12
[別添1]医療機関における放射線関連機器等の保守点検指針 554KB
2018/03/--
医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について 132KB
2007/03/30

 厚生労働省が発出した『医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について』を独自に新旧比較したファイルをご提供します。

名称・内容・説明 サイズ リンク 日付
【新旧比較】医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について 182KB
2018/06/12





バナースペース

AmpiTa Project

www.ampita.net




医療設備研究班が52時間の停電被災~備えと対応実践~ 太陽光発電とカセットガス発電機HONDA "enepo" (エネポ) 電気工事士免状取得25年、療養住環境や医療福祉設備の停電対策を研究してきたAmpiTa研究班が被災。研究成果の活用や失敗を紹介します。