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『停電対策で見落としがちなトイレと風呂』 -今日の課題-

★今日の課題★
停電中のトイレと風呂




 停電対策と言って、真っ先にトイレと風呂を準備しようという人は少ないと思います。

 しかし、トイレが使えなかった場合、立小便や野グソという最悪の選択が迫られますが、住宅街ではそれすら難しいと思います。

 私たちは考えました。トイレが使えなければ『オムツ』だと。そして、深いな陰部・臀部を洗うための入浴もできないと。

 それを回避するために、様々な準備をしたことが、今回奏功しました。

大人になってオムツは回避したい!

トイレ

トイレ自動洗浄時代

 以前のトイレといえば、レバー式で水洗するのが一般的でした。
 今でも多くありますが、近年の住宅では自動洗浄タイプが普及しています。

 ボタンを押せば流れる、あるいはボタンすら押さずに流れるタイプもありますが、それらはセンサーなど電気的な物を使っています。



自動水洗トイレを手動で流す

 できるかできないかで言えば『できます』。

 アラウーノの場合、蓋は手で開けられます。
 排泄は普通にしてもらいます。

 排水は便器の右側面奥側のカバーを開けて、回転レバーを回すと排水弁が開いて排泄物が流れていきます。
 溜まっていたものが流れ出るだけなので、トイレットペーパーなど軽くて流れにくい物は残ります。
 バケツに水を入れて来て、便器に流すことで弁開放状態であれば排水されていきます。排泄物も洗い流せます。

 終わったら回転レバーを元に戻します。回していると感覚的に『閉まったな』とわかると思います。
 バケツで便器に水を張ります。水が無くても故障はしません。

 毎回、この手間が発生します。



ドライトイレ(乾式便器)

 前述の自動水洗トイレでは、水が流れる前提で紹介しましたが、断水中の場合は異なります。
 特に、マンションなどでは揚水ポンプが停止して停電⇒断水の流れができてしまうので、ぜひ動画を見て方法を知っておいてください。

 水洗トイレが湿式ならば、水を使わないのは乾式。ドライです。
 断水中にトイレを流すと便器は空になります。排水はされるが給水が無いからです。

 この空っぽの便器にビニル袋を置いて排泄します。

 そのビニル袋に子供用のオムツを入れると、大人のオシッコやウンチでも吸水することができます。
 液体のままの尿は置いておくことに抵抗がありますが、固形物になった尿ならば保管性も良く、自治体のルールが許せばそのまま燃やせるゴミとして捨てられます。

 ところで、乾式トイレで溢れて来ないのかと不安ではないでしょうか。
 成人が排泄した場合を想定して、実際に検証してみましたので、下記動画もご参照ください。




風呂

満杯の湯

 災害に備える上で重要な『水』。
 その水をためておくのにちょうど良いのが浴槽です。

 台風など予見できる災害の場合、何も考えずにとりあえず浴槽から溢れるほどの湯または水を張っておきます。



浴槽に浸からない

 台風21号が到来した9月4日に満杯まで張った湯は、9月6日まで入浴に使いました。

 浴槽には浸からず、桶で湯を取り出して掛け流す使い方をしたので、湯が汚れる事もなく3日間が過ぎました。

 気温が30℃近い9月初めでしたので、腐るのではないかと心配しましたが、臭いもなく、普通に使えました。

 浴槽に人は入らない、蓋は閉めておく、これだけで十分でした。



1週間以上維持できるか?

 『できる』と言い切るのは難しいですが、できます。

 簡単に言えば、プールの水質管理と同じ方法をとれば、1カ月でも水質を維持することができます。

 そのために必要な機材や薬剤があるか否かがキーになります。



家庭で数カ月維持している水

 一般家庭でそんな事ができるのかと疑われても仕方ありませんが、ここ数年、夏場はプールの水を清浄なまま維持しています。
 だいたい6月下旬か7月上旬に水を張り、9月中旬まで使っています。


 キーとなるデバイスの1つが循環ポンプです。

 電気を使うので災害時には使えないと思いますが、機能面に注目して頂ければ家庭の浴槽でも似たことができます。

 1つは水の循環です。
 水がよどむと腐りやすいようですので、水に動きを持たせています。
 浴槽でも、日に何回か混ぜてやれば水に動きを持たせることができます。
 私宅では24時間タイマーを使って、日に何度かOn/Offを繰り返しています。


 もう1つの機能はフィルターです。
 この循環ポンプの中には不織布のフィルターが入っています。
 ここで取れるゴミはだいたい髪の毛が多いです。
 浴槽でも同じことが言えると思いますので、金魚の水槽で使うような目の細かい網や、ストッキングでも良いので浴槽の水を濾してやれば浄化に役立ちます。


 おそらく循環ポンプより重要なのが次亜塩素酸ナトリウムです。

 プールが『塩素臭い』と感じる方も居られると思いますが、その塩素臭の原因は次亜塩素酸ナトリウムです。

 洗濯用ハイターなども次亜塩素酸ナトリウムですが、ここで使う薬剤は界面活性剤などが入っていないシンプルな次亜塩素酸ナトリウムです。

 この薬剤を毎日投入することで、水は透明を維持し、安全も維持しています。


 屋外なので葉っぱや虫が入らないようにカバーをしています。
 浴槽であれば、専用の蓋をかぶせておくと良いと思います。

INTEX(インテックス) プール レクタングラフレームプール 220x150x60cm 28270 [日本正規品]
 フレームプールですので、金属のフレームを組んで、そこにビニルシートを張るような形でプールを作ります。水深は80cmくらいになります。
AmpiTa
INTEX(インテックス) カートリッジフィルター・ポンプ 28637
 フレームプールは数トンの水を使いますので、循環させてフィルターを通し、水を浄化します。
AmpiTa
リーベックス(Revex) コンセント タイマー スイッチ式 簡単デジタルタイマー PT70DG
 水の循環型浄化装置はコンセントを差し込んだときだけ動きます。差しっぱなしだと24時間動きますので、タイマーで制御して使っています。
AmpiTa
ピューラックスS
 次亜塩素酸ナトリウムです。プールの水に添加して使います。
AmpiTa
TRUSCO(トラスコ) ブルーシート #2000 3.6m×4.5m BS20-3645
 プールにかけるブルーシートです。購入したプールのサイズより1~2m大きいシートを買うと、全面をしっかり覆うことができます。
AmpiTa


残留塩素

 水質を維持するためには塩素が残っていなければなりません。

 正確に把握するためには残留塩素計を使って測定します。
 透明な容器に水を採り、試薬を入れて反応したピンク色の濃さで判定する方法が一般的に行われています。

 厚生労働省の推奨値ではプールの残留塩素は0.4~1.0mg/Lとなっています。

 プールは水の量も多いので6%次亜塩素酸ナトリウムであれば100mLも入れますが、これは残留塩素がゼロの場合です。
 実際には残留があるので、10~50mL程度しか入れません。

 1立方メートル、1トンの水を1ppm上昇させるために必要な薬液量は16.7mLです。
1立方メートル×1.0ppm÷6%=16.7g(mL)

 浴槽であれば、満杯でも200L程度なので、ごく少量で足りることになります。
 上式から考えると浴槽は1トンの5分の1なので、次亜塩素酸ナトリウムは5mLも入れれば十分です。

柴田科学 残留塩素測定器 DPD法 試薬付 080540-521
 プールの残留塩素を測定することで、水の安全性を確認することができます。
AmpiTa



飲用水

浴槽の水は飲めない

 浴槽には200Lもの水があるので飲めたら良いのですが、飲めません。

 浴槽の水は入浴用以外では洗濯用、トイレ水洗用に使います。
 下水が生きていれば、便器に桶で水を入れて流してやれば流れていきます。

 浴槽の水をどうしても飲みたいのであれば、フィルターを買いましょう。

OHKEY 携帯浄水器 濾過器 検査済
 携帯型の濾過機です。これを通せば、フィルターの目より細かい物しか通らないので、実質的に水だけが通るとされています。
AmpiTa
アーバンテック SUPER DELIOS(スーパー デリオス) 携帯浄水器
 ケチャップのボトルのような容器に水を入れて濾過するアイテムです。最初、泥水を飲むには勇気が要りますが、非常時であればどうにかやり過ごせます。
AmpiTa


貯湯槽の湯は飲める(!?)

 エコキュートやエネファームなどの商品名で知られる給湯器は、屋外に貯湯槽を備えています。

 大型のポットのような物で、190Lや370Lなど様々なタイプがあります。

 この貯湯槽に入っている湯は、人に触れていない比較的キレイな湯です。少なくとも砂や髪の毛は入っていません。

 ガス会社の怖い社員さんは『絶対に飲めません』と言われましたが、生きるか死ぬかというときには、バケツにたまった水ですら飲むと思いますので、それよりはるかにキレイな水であれば、飲むと思います。

 GOA(goal-oriented action)の考え方を実践するためには、貯湯槽から湯を出す方法を具備しておく必要があります。


出典 NES株式会社:GOAとは?




 今日の解決策は『浴槽満杯の湯、ドライトイレ、貯湯槽の湯を飲む』でした。

 実体験としての停電の記録を時系列でまとめていますので、よろしければご覧頂ければと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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