★今日の課題★
デジタルビデオカメラの”E:62:11″エラーを改善
SONY Handycam
ハンディカム
ハンディカムはソニーのビデオカメラブランドです。
歴代、色々な機能を搭載してきましたが、大きくは片手で軽々と持てるファミリー向けのものと、少し大きく重めにはなるが高性能なタイプ(HDR-AX)に分けることができます。
ファミリー向けとは言え、小学校の運動会でトラックの反対側からでもキレイに撮れるくらいの光学ズームが備わっていたり、長時間バッテリが装着可能であったりします。
Lens Error Code “E:62:11”
ハンディカムの電源を入れると最初にレンズカバーが自動で開きます。
続いてレンズが捉えた映像を液晶モニタに映し出し、各種情報が画面に重なった表示されます。
この起動時の自己診断で画面右上に『E:62:11』と表示される現象があります。
その要因は『レンズに無理な力』がかかっているという抽象的な表現で、具体的に何が作用しているかはわかりません。
SONY: 「E:62:11」や「E:62:12」の自己診断表示 (エラーコード)が表示される(ハンディカム)
SONY: 「E:62:00」や「E:62:01」など「E:62」で始まる自己診断表示 (エラーコード) が表示される(ハンディカム)
SONY: Why does the Self-diagnosis display (error code) “E:62:11” or “E:62:12” appear?
Lens Error Code “E:62:10”
当初は”E:62:11″だけ出ていましたが、のちほど”E:62:10″も確認されました。
原因追及
ヤフオク
今回、この現象が出ているハンディカムはヤフオクで落札した商品です。
落札したHDR-CX270Vは2012年1月発売、後継のHDR-CX390が発売された2013年1月までの1年間が主な販売期間でした。
2012年から8年、幼稚園年少だった子供が小学校を卒業するくらいの年齢になるせいか、HDR-CX270Vはオークションやフリマアプリでよく見かけるようになった型番です。
相場としては7千円~1万円くらいで落札、フリマアプリなら1.2~1.8万円くらいで出品されています。
出品者コメントには『たまに起動途中でエラーになってしまいます』『ジャンク品』という記載があり、エラーが出る事はわかって落札しました。
落札額は2,800円、送料657円で3,457円でした。
バッテリ、ACアダプタ、HDMIミニケーブルが揃っているという事でしたので、仮に修理不能でも他のカメラに転用できると考えて落札しました。
原因分析
出品者からクロネコで商品が到着し、すぐに開梱して電源オン。お聞きしていたとおりの現象。この時点で出品者を評価して取引完了し、故障原因の追究を開始しました。
まず、まったくピントが合わない。
昔の家電なら叩けば直ったかもしれませんが、今どきの家電はどうだろうと思って叩いてみると、ピントが合いました。
この様子から、何か物理的な原因があると察しました。
全体を眺めていると、いつの間にかレンズのシャッターが閉じていました。まだ電源は入っています。異常です。
”E:62:11″は『手ブレ補正』を採用している機種に発生するそうなので、各種設定を見ていくことにしました。
設定変更で改善
設定メニューの『カメラ・マイク』から動画の『手ブレ補正』を『切』にしました。
この設定変更により、まったくピントが合わなかったものが、合うようになりました。
説明書によると手ブレ補正をオフにすれば画角が変わり、広角撮影が可能となり、光学ズームも30倍まで使えるようになるとのことで、逆に言えば手ブレ補正Onではレンズに制限を掛けているという事がわかりました。
『デジタルズーム』も『切』にしておきます。ウェブ会議や講演などではデジタルズームを使うような距離にはならないと思いますので、『切』にしても問題ありません。
同じ設定メニューから『顔検出』や『スマイルシャッター』などレンズ調整に影響しそうな物はすべて『切』にしました。
黒い影
ソフトウェア的な設定変更後、ズームやフォーカスはそれなりに働くようになりました。
ここでカメラを前後左右に色々と回転させ、HDMIケーブルで27インチモニタに映し出して確認していると、カメラを横に傾けたときに黒い影が端に現れることに気づきました。
何らかの物体がレンズの前に立ち、塞いでいると考えられましたので、分解して確認することにしました。
分解
ここで動画を撮るべきでしたがYouTuberではなく一般人なのでそこまで頭が回りませんでした。
まず下面の黒い板から5本のネジを取る所からスタート。
次に右側面の録画ボタンの周りのカバー、続けてストラップが付いているあたりのカバーを外します。この2つは質感が似ているプラスチックです。
次は左側面の液晶モニタの付け根あたりの艶があるカバー、次に上面、次にレンズ前のシャッター部を外します。
原因
今回の根本的原因は、おそらく衝撃による内部パーツの破損だと思われます。
と言いますのも、分解していった結果、内部からプラスチック片が発見されました。
黒い影が映し出されていた原因はおそらくこのプラスチック片であり、これがレンズの所に入れたという事は、その周辺のパーツが壊れたと考えられます。
この破片の色はアイボリーかグレーっぽいので、内部パーツの黒色とは一致しません。根本原因までは突き止められませんでした。
分解された状態でバッテリを装着して映像を確認すると、先ほどのような黒い影は無くなりました。
バッテリ装着状態でOn/Offすると、摺動するレンズは前回の位置のままなのですが、この位置検出とエラーの関係性についても疑わしいところがあります。
メーカーのサイトでは『バッテリを外して再確認』という文言があり、バッテリを外すとレンズ摺動部は1往復してゼロ点に戻るので、このときに何らかのエラーを排除してリセットされます。
姑息的な方法としては良いのですが、根本原因の改善には役立たないので、今後も注意深く見守っていこうと思います。
組立
あとは元に戻すだけですが、ここからはパーツを1つ装着するごとにバッテリ・HDMIケーブルを装着して映像を確認していきます。
映像に問題がなければネジを締めて固定、次のパーツを装着して同じことを繰り返します。
最後のパーツまで装着しても異常が無かったため、今回の作業は終了しました。
今回の分解・組み立てに使った工具は、過去にニンテンドースイッチのコントローラーを修理した際に付属されていたドライバーやヘラを使いました。
ニンテンドースイッチ Joy-Con交換部品・工具
ニンテンドースイッチのコントローラーが故障した際にDIY的にパーツ交換するためのセットです。 |
ATEM Miniのカメラ
ATEM Mini シリーズ
今回のカメラ調達はホームビデオを撮るためではなくウェブ会議に使うために調達しました。
単にビデオカメラだけ持っていてもウェブカメラにはなりませんが、ATEM Miniシリーズを使う事でウェブカメラ化を実現します。
今年、ATEM Mini Pro ISOという機種を調達しましたので、そこに接続して使用することを想定しています。
既に、HDR-PJ20というハンディカムを使用しており、今回のカメラはサブカメラとして使う予定です。
修理が完璧であれば、メインカメラにしても良いかなと考えています。
参考 AmpiTa: ATEM Mini Pro ISO調達
ウェブカメラ化のための設定
設定メニューの『セットアップ』からいくつかの設定を確認・変更します。
この設定で最も重要なのは『デモモード』を『切』にすることです。これが切られていないとウェブ会議中にHandycamのコマーシャルスライドショーが始まります。
その他は任意で設定します。
『HDMI解像度』は『オート』『1080p/480p』のいずれかにしておきます。ZoomやSkypeなどでは画像は圧縮されてしまうのでどの設定でも大差が感じられません。
『HDMI機器制御』は『切』にしておきます。ブラビアのTVリモコンでの操作を受けるか否かの設定ですが、何かの間違いでウェブ講演中などに切り替わらないように『切』にします。
『操作音』は『切』にしておきます。配信中などにカメラを操作しても邪魔にならないようにします。
『GPS』は『切』にしておきます。必要のない機能です。
『カメラ・マイク』設定の『ホワイトバランス』は『オート』より『屋外』の方が顔色が生き生きとしている感じがあります。『屋内』は白っぽくなるので、ウェブ配信で見ると病的にも映ってしまいます。
同じように『カメラ明るさ』も『オート』より『マニュアル』にして丁度良い設定にすると良いです。顔が明るく見える方がウェブ配信では良いと思いますが、あまり変更してしまうとノイズが増えて汚くなります。
『シーンセレクション』は『オート』で良いと思いますが、撮影場所によっては変更しても良いかもしれません。
運用
実際の運用は下図のとおりです。
ATEM Mini Pro ISOに正面カメラと俯瞰カメラ、Windowsパソコン、Macパソコンを接続して使用しています。
今回調達したカメラは俯瞰カメラとして運用を開始しています。
今日の解決策は、分解して修理する、でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
追伸
2021年9月に”E:61:00″というエラーが出るハンディカムを落札し、修理しました。詳しくは下記の記事をご参照ください。