★今日の課題★
大判プリンタは買うべきか否かを検討
大判印刷の必要性
学会発表や展示ブース出展などを計画していた2020年春に一度、大判印刷の需要が個人的には高まりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行拡大によりすべては白紙撤回、ブース図案まで作っていたことが懐かしいです。
2022年春、学会発表の採択通知が届き『ポスター』となっていたので、少なくとも1枚はポスター印刷が発生します。
他にも学会にはエントリーしているので、今後は増える可能性があります。
そして見本市や学会等の展示ブース出展も計画しなければならない状況なので、大判印刷の需要が生まれています。
外注は1枚1万円
学会発表では掲示板が畳1枚の90cm×180cmくらいなので、ポスターは規格どおりだとA0判(841mm×1189mm)がちょうど良いです。
学会に持参するのでスーツケースに入れたいため、用紙は布を使います。
するとだいたい1万円くらいでいんさつしてもらえます。
ネットで探すと『ソクプリ』というところが4,300円、防炎を入れても4,580円という価格破壊的なものが登場しています。
予算計画
まず、減価償却資産にしたくないので税込み30万円が上限です。
年10枚、装置寿命を5年とすると50枚、8年なら80枚が総印刷枚数です。
消耗品としてインクが100枚分で2万円×5色≒10万円とします。
布(クロス)のロールが20mで3万円、2m×50枚なら100m分で5本、2m×80枚なら160m分で8本と試算できます。
消耗品関係として5年なら25万円、7年なら34万円と試算できます。
1枚5千円で外注できるとすれば50枚で25万円、80枚で40万円です。先ほど試算した消耗品価格で言えば50枚でプラマイゼロ、80枚でも6万円しか節減できません。
本体が6万円ということはないので、この程度の印刷枚数では不採算であることが透けて見えます。
A0判幅で1.8m
前述の5千円は約1.2mの規格サイズですが、ポスター掲示板は1.8mくらいの高さまで対応しているので、ギリギリまで使えるサイズにすると、約1.8mの長さになります。
1cmあたり44円なので180cmなら7,920円です。
約8千円として50枚なら40万円、80枚なら64万円となります。
20m巻のロール紙から1.8mは11枚取れるので5本で55枚、8本で88枚です。
消耗品と印刷外注の差額ですが50枚の内製が25万円だったので差額15万円、80枚の内製は34万円だったので差額30万円となります。
80枚印刷なら30万円の装置で採算!?
理論上、80枚印刷すれば30万円未満の装置を買う事で採算ベースになることがわかりました。
ただし、装置が壊れない事が絶対条件ですし、ミスプリントについてはロール紙は8枚分まで許容できますがインクは痛手のロスになります。
とりあえずはA0判のロール紙対応で、30万円未満の機種を探すことにします。
A0判対応の大判プリンタ
各社のA0判対応の大判プリンタのリストです。定価で100万円超えの機種もあります。
EPSON
- SC-T5255(5色機)
- SC-T5255D(ダブルロール)
- SC-T5455(4色機)
- SC-T5150(4色機)
- SC-T5150N(4色機・スタンド無し)
- SC-T5MFP2(5色複合機)
- SC-T5MFP2(ダブルロール)
- SC-T5450M(4色複合機)
- SC-T5150M(4色複合機)
- SC-T545SC1(4色機拡大コピー)
- SC-T545MS1(4色機拡大コピー)
Canon
- GP-300(5色+蛍光ピンク)
- TX-3100(5色機)
- TM-305(5色機)
- TM-300(5色機)
- TA-30
- TZ-30000 MFP(スキャナ搭載)
- TZ-3100 MFP(スキャナ搭載)
- TM-300 MFP(スキャナ搭載)
hp
スキャナとダブルロールは不要
素人の業務用であり、図面などの入稿は無いのでスキャナは不要です。ダブルロールである必要もありません。6色印刷も贅沢なので除外するとだいぶ絞り込まれます。
EPSON
Canon
hp
ネット通販価格(参考)
楽天ビック(ビックカメラ×楽天)
楽天市場
30万円未満で絞り込み
同じ価格帯で各社1機種ずつが絞り込まれ、いずれもA0判対応で4色インク、特徴は似ていますがエプソンだけスタンド無しが選べます。
Epson SC-T5150N
スタンド無しのタイプで楽天ビックが228,000円で6,864ポイント還元(2022/3/30時点)、価格.comで調べてもだいたい22万円くらいです。
この機種のロール紙は914mmまでです。
Canon TA-30
スタンドは要らないのですが附属するようで、楽天ビックの価格で283,800円で8,514ポイント還元(2022/3/30時点)、こちらは価格.comで探すと25万円以下もありそうです。
楽天ではムラウチが257,800円、7,734ポイント還元で出していました。
この機種のロール紙は917mmまでです。
hp DesignJet T650
楽天最安は資材PLAZAの224,950円で6,747ポイント還元(2022/3/30時点)、次は244,866円が複数業者です。
この資材PLAZAは販促Expressも営むフジテックスという資本金3億円の会社なので怪しい通販ではありません。
この機種のロール紙は914mmまでです。
Epson SC-T5150Nで80枚
名の知れた家電量販店『ビックカメラ』が保証してくれるのでが228,000円の価値はあるかなと思います。
エプソンダイレクトショップでは228,800円、今回は業務用なので楽天ポイントは無視して約23万円で試算してみます。
インクは顔料系の耐水性があるタイプ、マットブラック/シアン/マゼンタ/イエローの4色あります。
インク1本で何枚印刷できるかわかりませんが、A0ポスター1枚あたり200円くらいのコストだそうです。80枚なら16,000円なので、ちょうど50mLのインクタンクを4色1本ずつと合致します。
今回は既定サイズの倍ほどの長さを想定しているので、インク代は各色2本ずつの32,000円としておきます。
布(クロス)のロール紙は20m巻で、普通のであれば3万円(SS8000-36)、防炎(MCPM36R1)になると倍近くになります。
今回は火の気のない展示会場を想定しているので防炎は無くても良いかなと思います。
80枚分なので8本必要、30,780円×8本で246,240円です。
これらを合計すると、本体が228,000万円、インクが32,000万円、ロール紙が246,240円で計506,240円になります。
80で割ると6,328円です。
ゼロリスクで試算すれば、内製化した方が安いことになります。
もし100枚ならば本体228,000円、インクが48,000円、ロール紙が307,800円で計583,800円なので1枚5,838円です。
EpsonのSC-T5455とSC-T5150N
5150Nは228,800円、そこにスタンドが付くタイプは261,800円なのでスタンドは33,000円ということになります。
ワンランク上の5455は349,800円(ビック価格)、ここからスタンド代を引くと316,800円が本体価格と推測できます。
この5455と5150の価格差は88,000円となりますが、その差額で機能にどのような差があるのか調べてみました。
5455には3種類のインクタンクが用意されており、1mLあたりの価格は大容量になればお得になります。
5150はスタンドを使わずにどこにでも置けるのが特徴です。重量は30kgくらい軽いです。
SC-T5455 | SC-T5150 |
PrecisionCoreインクジェット方式 2400dpi×1200dpi | PrecisionCoreインクジェット方式 2400dpi×1200dpi |
ブラック 800ノズル(800ノズル×1色) カラー 2400ノズル(800ノズル×3色) | ブラック800ノズル(800ノズル×1色) カラー2400ノズル(800ノズル×3色) |
ノズル自己診断システム | |
ドライバープレビュー機能 | ドライバープレビュー機能 |
印刷速度(ポスター) 普通紙ロール/A0サイズ 600dpi×600dpi 速い 双方向印刷オン:約56秒 | 印刷速度(ポスター) 普通紙ロール/A0サイズ 600dpi×600dpi 速い 双方向印刷オン:約57秒 |
印刷速度(CAD) 普通紙ロール/A1横サイズ 300dpi×600dpi ドラフト 双方向印刷オン:約22秒 | 印刷速度(CAD) 普通紙ロール/A1横サイズ 600dpi×600dpi 速い 双方向印刷オン:約31秒 |
印刷費用(ポスター) 普通紙ロール/A0サイズ 600dpi×600dpi 速い 双方向印刷オン:約91円 | 印刷費用(ポスター) 普通紙ロール/A0サイズ 600dpi×600dpi 速い 双方向印刷オン:約199円 |
印刷費用(CAD) 普通紙ロール/A1横サイズ 300dpi×600dpi ドラフト 双方向印刷オン セービングモード時:約6円 | 印刷費用(CAD) 普通紙ロール/A1横サイズ 600dpi×600dpi 速い 双方向印刷オン:約8円 |
顔料タイプ各色独立インクカートリッジ (マットブラック、イエロー、シアン、マゼンタ) 110mL入7,300円(SC14MB11、SC14C11、SC14M11、SC14Y11) | 顔料タイプ各色独立インクカートリッジ (マットブラック、イエロー、シアン、マゼンタ) 50mL入4,500円(SC13MBM、SC13CL、SC13ML、SC13YL) |
オートシートフィーダー | |
用紙幅:254mm~914mm | 用紙幅:297mm~914mm |
用紙厚:0.08mm~0.3mm | 用紙厚:0.05mm~0.21mm |
ロール紙外径:170mm以内 | ロール紙外径:119mm以内 |
給紙方法: ロール紙1本装着 単票紙1枚ずつ手差し給紙 | 給紙方法: ロール紙1本装着 単票紙(1枚)手差し給紙 単票紙(オートシートフィーダー)フリクション方式 |
印刷可能最大長:91m | 印刷可能最大長:91m |
フチなし印刷 | |
USBメモリダイレクト印刷(TIFF・JPEG) | |
内蔵メモリ:1GB | 内蔵メモリ:1GB |
消費電力:約38W(動作時)、約1.3W(スリープモード時) | 消費電力:約28W(動作時)、約1.6W(スリープモード時) |
外形寸法:1,385×750×1,070mm | 外形寸法:1,268×696×913mm |
質量:76kg | 質量:46kg |
稼働音:50dB以下 | 稼働音:49dB以下 |
インターフェイス:USB、1000BASE-T/100BASE-TX、IEEE802.11b/g/n、USBメモリー | インターフェイス:USB、1000BASE-T/100BASE-TX/IEEE802.11b/g/n |
タッチパネル | タッチパネル |
定価:318,000円 | オープン価格 |
発売日:2020年6月3日 | 発売日:2018年9月11日 |
EpsonのSC-T5255は格上
クラスが1つ上がるSC-T5255は、様々な点でアップグレードです。
解像度は2,880dpi×1,440dpi(5455は2,400×1,200)、インク色数は5色(フォトブラックが追加)、ノズル配列はブラックが720×2色で1,440(5455は800ノズル)、カラーは720×3色で2,160(5455は800×3=2,400)です。
印字で『金赤』に対応していることで印刷の質が高まっています。マットブラックで黒がキレイになっています。
ボード紙に対応している点は大きな違いです。1.5mmの厚紙を手差し印刷できます。
印刷コストはA0ポスターが99円なので5455と同じくらいです。
700mLのインクタンクに対応している点も5455と同じです。
ハード面ではロール紙2本装着できるタイプがあることや、ハードディスクをオプションで装着できる点などが違います。
ヒューレットパッカード
hpのプリンタを調べてみました。
サーマルインクジェット方式なので顔料系ではなく染料系のインクになります。染物なので、耐水性や滲みに課題がありそうな気がするので、今回の布(クロス)でのポスター印刷からは外させてもらいました。
DesignJet T730 | DesignJet T650 |
サーマルインクジェット方式 2400dpi×1200dpi | サーマルインクジェット方式 2400dpi×1200dpi |
A1カラー線画(高速エコノ)約 25 秒 | A1サイズ線画データ(普通紙) 高速エコノ: 約 25 秒 |
4色(染料:C、M、Y、顔料:K) | 4色 HP Bright Office Ink(染料:C、M、Y、顔料:K) |
ロール紙:1本 カット紙:用紙トレイ、手差し | ロール紙:1本、カット紙:用紙トレイ、手差し |
用紙幅:最大914mm | 用紙幅:最大914mm |
用紙トレイ: A4、A3(約 50 枚※1) 手差し: 330 × 482mm ~ 914 × 1,897mm | |
1000BASE-T Ethernet(TCP/IPのみ対応)、 Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)、USB 2.0 Type-A host port(USBダイレクトプリント用) | Gigabit Ethernet (1000Base-T)、 Hi-Speed USB 2.0、Wi-Fi 802.11 |
USBメモリダイレクト印刷 | |
内蔵メモリ:1GB | 内蔵メモリ:1GB |
消費電力:35W(動作時)、0.2W(スリープ時) | 消費電力:35W(動作時)、2.1W(スリープ時) |
外形寸法:1,403×605×1,155mm | 外形寸法:1,317×605×932mm |
質量:43.7kg | 質量:35.4kg |
定価:178,000円 | |
発売日:2015年11月26日 | 発売日:2020年10月 |
キヤノンはどうか?
キヤノンはTA-30とTM300が対象になると考えられます。
いずれも顔料5色の高精細プリンタです。エプソンの候補した機器との違いはこの色数です。
TA-30はインクタンクの容量が小さいので、インクを買い足すときの費用負担が小さいのですが、その分だけ印刷コストが高くなります。
TM-305とTM-300の違いはHP-GL/2対応、HDD500GB搭載、USBダイレクトプリントといったあたりです。
TM-300が本体価格275,190円、8,253ポイント還元でECJOY!楽天市場店で売っています。A0ポスター1枚が118円なので倍の長さで236円、80枚で18,800円になります。純正クロスが20m巻で3万円くらいなので8本で24万円です。合計533,990円、1枚あたり6,675円でした。
エプソンでは6,328円でしたので350円くらいキヤノンが高くなりましたが、インクは5色になるので、その差が350円の価値に見合うかどうかが決定要因になります。
価格情報がなかなか手に入らないのですが、2021年12月7日発売のGP-300は定価で388,000円なので、TM-305の398,000円にかなり近いです。そうなると税込40万円近くになるのかなと思います。
GP-300は5色顔料に蛍光ピンクを足した6色、かなり高機能になっています。インクタンクは160mLと300mLの2種類がラインアップ。スタンドを外して直置きできるのも魅力的です。500GBのHDDも標準搭載、その他の仕様はだいたいTM-300やTA-30と同じです。
GP-300の印刷コストはA0ポスターで154円、倍の長さを80枚なら24,640円です。ロール紙が24万円、本体が30万円ならば1枚あたり7,058円です。
これを100枚印刷にすると630,800円、1枚あたり6,308円になります。
もし本体が30万円以内ならGP-300を選ぶ価値はありそうです。
TM-300 | TA-30 |
2400dpi×1200dpi | 2400dpi×1200dpi |
MBK×5,120ノズル BK/C/M/Y×各色2,560ノズル 計15,360ノズル | MBK×5,120ノズル BK/C/M/Y×各色2,560ノズル 計15,360ノズル |
印刷速度(A0ポスター)普通紙ロール/標準:1.3分 | 印刷速度(A0ポスター)普通紙ロール/標準:1.5分 |
印刷費用(A0ポスター)普通紙ロール/標準:118円 | 印刷費用(A0ポスター)普通紙ロール/標準:179円 |
インクタンク:各色130ml/300ml(初期同梱インクはMBK:130ml、BK/C/M/Y:90ml) | インクタンク:55ml |
用紙幅:幅203mm(8inch)~917mm(36inch) | 用紙幅:幅203mm(8inch)~917mm(36inch) |
給紙方法: ロール紙1本装着 手差し給紙 | 給紙方法: ロール紙1本装着 手差し給紙 |
フチなし印刷 | フチなし印刷 |
内蔵メモリ:2GB | 内蔵メモリ:2GB |
消費電力:約69W(動作時)、約3.6W(スリープモード時) | 消費電力:約59W(動作時)、約3.6W(スリープモード時) |
外形寸法:1,289×757×1,060mm | 外形寸法:1,289×757×1,059mm |
質量:60kg | 質量:53kg |
稼働音:44dB以下 | 稼働音:42dB以下 |
インターフェイス:Hi-Speed USB、10Base-T、100Base-TX、1000Base-T、IEEE802.11n/g/b | インターフェイス:Hi-Speed USB、10Base-T、100Base-TX、1000Base-T、IEEE802.11n/g/b |
定価:338,000円 | |
発売日:2018年10月30日 | 発売日:2019年10月10日 |
どうしたか?
いろいろと検討しましたが、置き場所に困るので、この春は外注することにしました。
保管状態が悪いとインクヘッドが固まってしまいそうですし、インクも無くなってしまうのではないかと心配しています。
電源を入れっぱなしにしておけばメンテナンスが入ると思いますが、そうなるとそれなりの場所に置いておく必要があります。
1.2mか1.3mくらいの本体、置く場所が難しいです。事務机が幅1.4mしかないので、そこの上は無理ですし、すでに3Dプリンタなどがあって困っています。半分の幅のカッティングプロッタでも置場に困っているので、いまの事務所では当面は見送りになりそうです。
来週は学会
2022年5月14日~15日、愛媛県では日本医工学治療学会、茨城県では日本臨床工学会が開催されます。
今回は両方の学会で私も演者の一員として名を連ねるポスター発表がありますが、医工学治療学会は筆頭演者なので愛媛の会場へ行く事になると思います。
臨床工学会の発表は共同演者ですが、ポスター作成にはしっかりと関わり、今頃は布ポスターの印刷が上がって来る頃だと思います。
医工学治療学会は開催自体が不明でしたので、ポスター印刷は外注せず、A3判用紙に8枚、自前で印刷した物を持参する予定です。
印刷屋さんの入稿締切までに開催が決定していれば布ポスターにしたのですが、そもそも採択通知も遅かったので、今回は見送りです。
今回は大判プリンタの調達について検討しました。
判断を迷わせるほどに安い業者が出てきたので、外注がリーズナブルなのかなと思いました。
広い事務所があれば、買う価値はあるかなと思います。
特に昨年末発売のキヤノンGP-300は気になります。災害対応での使い道を思いついたら、経費で買おうかなと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。