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進化した無料入退管理システムを試用 GateKeeper ~今日の課題~

★今日の課題★
無償提供されている受付登録・入退管理システムを試用し進化をチェック


 10年以上前、受付で名簿に署名したり、チェックマークを入れて入退記録していることが、参加者にとってストレスであり、またチェックマーク方式では目を離した隙に何個でもチェックできてしまい『代返』(ダイヘン)ができてしまう恐れがありました。

 それを解消しようと当時、タッチパネル入力、バーコード入力、無線ICタグ(RFID)などを利用したシステムを開発し、ある論文の一部に掲載しようとしていました。

 下図は2011年7月20日に制作したと記録されていますが、その元となる写真は2011年4月11日に撮影された物です。
 アルファベット記号や英字説明があるのは、論文掲載用の資料として制作していたためです。
 もう陳腐化したので使いませんが、今から同様の図を制作するとしてもRFIDがNFCに置き換わるくらいで、ほとんど当時と変わらぬままかもしれません。

 今日はこのアップデート、差分について検討したいと思います。




事前名簿型と現場作成型

 イベントの受付では、予め入場する人の属性がわかっていて名簿が用意できる場合と、そうではない場合があります。

 たとえば学校のPTA向けのイベントでは、在校生の保護者という属性は決まっているので在校生名簿があれば、ある程度の入場者はチェック可能になります。

 展覧会などでは、招待客は事前に名簿の作成ができますが、一般客は不明であるため名簿を作るとすれば入場時になります。

画像内の氏名は架空人物

 対比的なところで言うと冠婚葬祭、結婚式は招待客以外は来ないと思いますし、座席も予め指定され、当日は受付で名乗れば照会が行われて、座席表を渡されて自身が座るべき場所も案内されます。

 葬式は通夜、告別式ともに親戚や葬儀関係者の席は用意されるものの名簿化されず、おおよその数で用意されて席に座る可能性があります。
 一般の弔問客は、誰が来てくれるかわからないので、受付で名簿に記名してもらい名簿を作成します。この名簿は後に、礼状を送ったり挨拶回りする際に役立てられます。




研修会名簿

 研修会の場合、ある程度は参加者が絞られていると思います。

 社内や院内、学内などの内部研修会は少なくとも所属員のみの参加であると考えられるため、照会(突合)用の名簿は用意でいる場合が多いと考えられます。

 とはいえ、名簿の取扱いが厳格化されている現在、内部の利用であったとしても管理が厳しい場合がありますので、そうした時代にも対応していく必要があります。




入退管理システム・ゼロ

 最初に開発された入退管理システムは下図のとおりです。

 入場か退場かは画面上にあるボタンで選ぶようになっています。

 この頃は個人の写真も載せられるつもりで開発していました。

 氏名のリストには誤認回避の事例として使っていた名前が並んでいるのがわかります。
 これらのリストはIDで管理することによって誤認を回避できるという結論でした。

  • 麻 香里奈(アサ カリナ)と麻香 里奈(アサカ リナ)
  • 北 里佳子(キタ リカコ)と北里 佳子(キタサト ヨシコ)
  • 太田 菜摘(オオタナツミ)と大田 奈津美(オオタナツミ)
  • 阪井 透(サカイトオル)と坂井徹(サカイトオル)




入退管理システム・イチ

 2016年に改めて開発した入退管理システムの GateKeeper version 1 です。

 下図は2019年に撮られたものですが、開発は2016年に行っています。

 ID入力欄は大きく用意されており、ここにバーコード、磁気カード、テンキーやキーボードでの入力を行うことを想定しているデザインであると思います。

 この頃はタッチパネルディスプレイが大型化したことと、低廉化したことで、タッチパネルを使う方法が考えられています。




入退管理システム・2

 現在、GateKeeper として無償提供されている入退管理システムが version 2 です。

 概ね version 1 を踏襲しており、開発環境が最新のものに変わったこと、言語がVisual BasicからC#に変わったことが大きな変化ですが、ユーザーには見えないので大差なしと見ることもできるかもしれません。

 今回の記事では、大差があるのかないのか、改悪になっていないかといったあたりを見てみます。




version 1 からは NFC

 2008年頃には先進的であった13.56MHz帯のICタグを使った自動認識も、2023年になってみれば陳腐化というか、FeliCaが大変な普及をしたために価格帯、汎用性ともに旧来のICタグを上回ってしまいました。

 GateKeeperでは2011年のゼロでは13.56MHz帯のICタグを使っていましたが、version 1からはFeliCaを使っています。
 下図の『PiTaPa』という関西圏の私鉄系ICカードの写真はversion 1のために撮影された5年以上前の写真です。後方に写っているPaSoRiというリーダーも旧型なので現在は販売されていません。

 Version 2 ではRC-S380というPaSoRiを使い、様々なFeliCaに対応しています。

13.56MHz RFID (ICタグ)
FeliCa (NFC)



交通系ICカードを網羅しても無料

 SUICA、Pasmo、ICOCA、EX-ICなど交通系ICカードを網羅していても、GateKeeperは無償提供されています。

 カードリーダーは有償ですが、市販価格で4千円前後ですし、確定申告などマインバーカードを走査する際にも使える機種なので兼用できるシーンが多いです。

ソニー NFC通信リーダー『PaSoRi』
 非接触型ICカードを走査(スキャン)するために必要なリーダーです。
 USBケーブルでパソコンと接続するだけで使えます。電源等は不要です。
 GateKeeperはSONY製のPaSoRiに対応しています。最新の開発デモではRC-380を使用していますが、他の機種との互換も確認されています。無難な買い物をするのであればRC-380をお勧めします。
 確定申告等でのマイナンバーカード走査にも使えます。実際に去年も今年も確定申告で使えましたし、他の行政サービスでも使えています。

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GateKeeperは無償ソフト

 今回検証している入退管理システム GateKeeper は無償提供されています。

 特にどこかへ登録するとか、何かを買わされるとかいうことはありません。




基本機能は入退管理

 ゼロやイチという旧版の説明があったのでお察しかもしれませんが、GateKeeperは受付登録・入退管理システムです。

 ここまで述べてきたとおり、入退管理といってもただ記録が残れば良いものではなく、いかに確実に、スムースに入退を管理するかが重要です。

 17時に勤務を終え、17時15分から18時までの社内研修を行い、参加者には1時間分だけ残業を付けるという場合、遅延すれば残業代が増えて費用が増すことになりますし、開会が遅れて閉会が定刻だと中身が薄っぺらい、質の悪い研修になりかねません。

 無駄時間とも言える入退をスムースにすることが、GateKeeperが解決しようとしてる課題です。




入退はスムースか?

 スムース(smooth, スムーズ)になっていると思います。

 特にFeliCaを使った自動認識は、鉄道の自動改札のように歩くペースを変えることなく通過できるくらいのスピード感です。

 標準設定で250ミリ秒毎の走査、すなわち1秒に4回のカードスキャンを実施しています。
 カードをかざせば遅滞なく走査(スキャン)されます。

 処理も速いです。
 受付には2種類あり、時刻とカードID(UID・製造ID・IDm)だけ残すタイプであれば0.1秒くらいの超高速、名簿と突合するタイプの場合でも1秒もかかりません。

 受付登録に失敗したときだけ呼び止める仕組みとする場合、基本的にはNGはほとんど出ないとすれば歩きながらカードを走査してそのまま通過で良いと思います。

 カードリーダーを受付カウンター(長机)の端、人が来る方へ置き、ディスプレイを反対の端、奥側へ置くことで1.8mの机であれば2~3歩のタイムラグを作れます。
 概ね、その間に処理は終わります。




手書きよりは….

 葬儀は故人を偲んで集まる会合なので、受付で丁寧に記名することに抵抗感は少ないと思います。日本では多くの場合にお焼香があるので葬儀中に順番待ちが発生するため、受付で時間がかかることはさほど問題ではありません。

 研修会では僅かな時間差が積み上がってできる大きなロスタイムが研修参加者や主催者にとっての損失になるので、僅かな差も埋める努力が必要だと思います。

 氏名と部署名を記せばだいたい本人を特定できるとして、この2点を記入する時間は、ペンを持って記入すべき位置を確認して書き終えるまで平均15秒くらいであるとします。

 バーコードはスーパーのレジ打ちと同じ要領なので慣れていれば3秒以内に済みます。セルフサービスだとバーコードリーダーを持ってスキャンして、リーダーを戻すか次の人に渡すまで5~10秒を見込む必要がありますが、受付係が居て次々とスキャンする場合は3秒以内は期待が持てる数字です。
 手書きの5倍くらいの速さでさばける計算です。

 磁気カードは立ち止まって、丁寧にスキャンする必要があるので一発で成功すれば5秒前後、少し手間取ったりすると10秒くらいかかります。
 それでも手書きよりは早いです。

 タッチパネルやマウス操作による入退管理は状況により手書きと同様に時間がかかる可能性があります。いかに見つけやすくしてあるかが重要になります。
 GateKeeperでは『未受付』という考え方が入っているので、受付が済むとリストから消えていき、画面には未受付者のみが表示されるように設定できます。受付が進むに連れて表示される人数は減っていくので見つけやすくなることになります。

 手書きを15秒とした場合、間髪入れずに次の人が受付していくとして100人参加ならば1,500秒、25分かかります。
 バーコードリーダーを用意してGateKeeperを使うと300秒なので5分で受付が完了します。

 17時に勤務を終え、研修会場に17時05分頃に集まり始め、17時15分に開会するというスケジュールを組む上では最低でもバーコードによる自動認識、可能であればNFCによる自動認識が必要であると考えられます。




FeliCa(NFC)導入は容易か?

 まずインフラ的な面での難易度ですが、かなり低いと思います。

 GateKeeperでFeliCaによる自動認識を実用するためには、パソコンとFeliCaリーダーであるPaSoRiが必要になります。
 パソコンは汎用のWindowsパソコンで良いので、用意することは難しくないと思います。
 PaSoRiは買う必要がありますが、価格としては4千円前後、個人であればeTaxのようなマイナンバーカードを走査する場合に使えますし、法人でも手続きに使う場合があるかもしれないので研修専用と考えなくても良いかもしれません。

ソニー NFC通信リーダー『PaSoRi』
 非接触型ICカードを走査(スキャン)するために必要なリーダーです。
 USBケーブルでパソコンと接続するだけで使えます。電源等は不要です。
 GateKeeperはSONY製のPaSoRiに対応しています。最新の開発デモではRC-380を使用していますが、他の機種との互換も確認されています。無難な買い物をするのであればRC-380をお勧めします。
 確定申告等でのマイナンバーカード走査にも使えます。実際に去年も今年も確定申告で使えましたし、他の行政サービスでも使えています。

 研修参加者は自身に紐づくFeliCaが必要になります。

 PaSoRiはマイナンバーカードや運転免許証に対応していますが、GateKeeperは非対応なので、政府発行のカード以外で検討する必要があります。
 逆に言うと厳格な管理が求められそうなカード類は使えないので、管理者側としては『走査できないので情報を得ることができない』と言って情報管理のレベルを下げることにも使えそうです。

 FeliCaに対応したカードを買う事ができます。
 安い物で100枚入り1.5万円程、1枚150円程度です。

FeliCaカード・タグ
 FeliCa規格の無地カードやタグが市販されています。
 1枚あたり150円~200円前後です。ボリュームディスカウントがきくので枚数が多いと単価が下がります。

 FeliCaカードはわざわざ買わなくても、他の用途で使用中のカードを転用できます。

 刻印のようにカードに登録されている Unique ID (UID) を GateKeeper では走査して利用しています。他のシステムでも同様のことが行われています。
 従って、GateKeeperではこのカードの使用履歴や残高を読み取ることはありません。疑う人が居れば、GateKeeperをダウンロードして機能を確認してもらえば、UID以外は表示される場所がないので情報を抜き取られる心配はなく、仮に抜き取られたとしても受付管理者が見る事はできません。

 FeliCaはどのようなカードで採用されているかと言うと、かなり広範です。財布やパスケースをPaSoRiでスキャンすれば何かしらヒットすると思われます。

  • JR交通ICカード(SUICA・ICOCA・EX-IC等)
  • 私鉄ICカード(Pasmo・PiTaPa・hanica等)
  • 航空マイレージカード(JAL・ANA等)
  • 電子マネーカード(waon・iD・nanaco等)
  • ポイントカード(各社独自に採用)

 本人が同意した場合は交通系ICカードなどで入退管理、同意が得られない場合は雇用主ら主催者側から無地FeliCaを買って貸与する方法を採る事で経済的に、円滑に導入できると考えます。




FeliCaチェッカー

 手元にあるFeliCaらしきカードがGateKeeperで使えるかどうかの確認は、GateKeeper内にある『FeliCa Checker』という機能を使えばわかります。

 PaSoRiを接続し、FeliCaをかざして単回ボタンを押せば、その1枚を1回だけ確認できます。

 連続ボタンを押すと連続的(実際は0.25秒間隔の間欠的)にFeliCaを走査できるので、たくさんのカードを持ち込んだ人に対して『使える』『使えない』の仕分けを立て続けに実施できます。




名簿との紐づけ

 FeliCaのUIDを名簿と紐づける方法は2つあります。
 1つはGateKeeperを使う方法、もう1つは外部名簿で編集する方法です。

 GateKeeperで使用する名簿は外部ファイル(CSVファイル)をインポートして作成します。
 インポート前のファイルにUIDを記載しておけば GateKeeper で編集する必要はありません。
 社員証などを転用する場合には総務課などに許可を得てUID情報を貰うか、GateKeeperではFeliCaから走査したUIDだけ記録しておいて、それを総務課などで名簿化してもらう逆方向の名簿作成にも対応しています。

 運用して見てわかりましたが、外部名簿に UID が記載されていた方が使いやすいです。
 研修名簿は入退記録なども記述されるので研修毎に変わりますが、参照元のファイルは参照するだけなので不変です。そちらに UID があれば、参照毎にGateKeeperにも記録されます。

 GateKeeperでの UID 記録方法ですが、名簿を開いて、対象となる人を選択(クリック)した状態にして青色に反転表示させておき、FeliCaを走査する処理を行うと自動的に UID 欄に UID が転記されます。
 操作自体は簡単でしたが、人数分のカードを用意して実施するのは大変なので、流し込みができたら良いなと思いました。




version 1 と 2 の差

 GateKeeperに付属のDLLは前作も今作も同じく felicalib.dll でしたので基盤技術は同じです。

 version 1 では名簿作成における不具合があるとの報告がありました。Windowsのバージョン変更に追随できず何らかのランタイムが不整合となっていたようですが、そのような問題については解消されているのではないかと思います。

 以前の名簿作成の方法と変わって現在はXMLを使っているので、そのあたりもWindowsのバージョンや権限に依存せず処理できているのではないかと思います。

 画面構成は大差ないのですが、タッチパネルでの使用感は前作の方が良かったのかもしれません。その代わり、1画面に表示できる件数が少なかったので、どちらが良いかわかりません。
 この点については、version 2 ではフォントサイズ指定機能が備わったので、たぶん version 2の方が使いやすいと思います。

 ということで、小さな差の積み重ねによって、それなりに大きな差が生まれているのではないか、という結論に至りました。




GateKeeper入手はVectorにて

 GateKeeperはVectorでダウンロードできるフリーウエア(無償ソフト)です。

 いつでもダウンロードして使い始められます。




おわりに

 今回はイベント等の入退管理システムである GateKeeper の新旧対比を行ってみました。

 あまり大きな変化はないということでしたが、積み上げていくと大きな変化ではないかと思えるようなものでした。

 まだ深くは使いこんでいないので、新たな発見があれば追記していきたいと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

解決

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