★今日の課題★
ノートパソコンのハードディスク(HDD)をソリッドステートドライブ(SSD)に換装した後、起動できなくなった。
解決策はMBR再構築でした
Windowsの回復用USBフラッシュメモリを『MBR再構築』したところ課題が解決されました。
MBRとはMaster Boot Recordの略で、ディスクパーティション情報やOS起動に関する情報が格納されています。
MBR内のプログラムを通じてブートローダーを読み込み、OS(Windows)が起動します。
換装後のSSDからWindowsを起動できれば良いのですが、それが出来ないときにはMBRを介して起動することになります。
今回のSSD換装後は、SSDから起動は出来なかったのでMBRを使いましたが、それでも起動できずスタックしました。
結果として、MBRの再構築によって解決しました。
MENU
├ 解決策はMBR再構築でした
├ SSD換装手順
├ 1.SSD準備
├ 2.SSD接続
├ 3.HDD⇒SSDクローン
├ 4.念のためのWinPE用
├ 5.回復ドライブ作成手順
├ 6.SSD換装
├ 7.起動順
├ 8.SSDから起動[失敗]
├ 9.よくある手段を試す
├ 10.USBから起動
├ 11.USBの存在確認
├ 12.MBR再構築
└ 13.起動成功
├ 換装後に起動しない場合の原因候補
├ クローン失敗
├ 接触不良・接続ミス
└ OSを見つけられない
├ EaseUS Partition Master
├ 調べたサイト
└ おわりに
SSD換装手順
今回のSSD換装の全手順をご紹介します。
これまで10回以上HDD⇒SSD換装をしてきましたが、今回は最も大変でした。
1.SSD準備
今回は2012年版の富士通製ノートパソコン(製造は2013年)の標準搭載ハードディスク(HDD)を2TB(テラバイト)のSSDに換装します。
並行して、メモリを8GBから16GBに換装します。
そのために準備したアイテムは下記の通りです。すべてネット通販です。
SAMSUNG 870 EVO 2TB 2.5インチ 内蔵型 ソリッドステートドライブ
ハイスピード、省電力、軽量のSSDです。 連続読み込み速度と連続書き込み速度は、それぞれ最大で560MB/秒と530MB/秒です。 パフォーマンスは、システムハードウェアの設定により異なります。 インターフェースはSATA・6Gb/秒、SATA・3Gb/秒、SATA・1.5Gb/秒のインターフェースに対応しています。 キャッシュメモリは2GB、DDR4 SDRAM |
HDDケース
2.5インチのHDDやSSDを装着して外部ドライブとして使えるようになるケースです。ディスクは付属していません。 |
DDR3 1600MHz PC3-12800 8GB×2
今回対象のパソコン用のメモリです。パソコンの年代などで選ぶべきメモリが違いますのでご注意下さい。 |
2.SSD接続
HDDケースに換装用のSSDを装着し、USBケーブルでパソコンと接続します。
3.HDD⇒SSDクローン
今回のクローンには『EaseUS Partition Master』を使用しました。
EaseUS Partition Masterを起動し、左側のメニューから『ディスク クローン』を選びます。
表示されたクローンのメニューの中から『OSディスクのクローン』を選択します。
似たメニューに『OSの移行』がありますが、これはパソコン内部で移動する際に使うメニューの様ですが、今回は換装なので『OSディスクのクローン』を選択します。
【参考】EaseUS:EaseUS Partition Masterでパーティションをクローン
【参考】EaseUS:超簡単!EaseUS Partition MasterでOSをHDDからSSD/HDDに移行する方法
次にクローン元とクローン先を選択しますが、クローン元は自動的にOSが入っているCドライブが選択されていました。
クローン先として、先ほど接続したSSDを選択して『次へ』を押します。
内容を確認して、問題なければ開始します。
この処理は容量に依存しますが、4~6時間かかります。
EaseUS Partition Master
クローンディスクを制作するためのソフトウェアです。 |
4.念のためのWinPE用
『EaseUS Partition Master』を『Windows Preinstallation Environment』(Windows PE)で起動できるようにするUSBフラッシュメモリを作っておきます。
これは念のためですが、今回は使うことになりました。
空のUSBフラッシュメモリを用意して、USBポートに挿入しておきます。
EaseUS Partition Masterを起動し、左側のメニューから『ブータブルメディア』を選び、表示されたメニューから『ブータブル メディアを作成』を選びます。
メディアを選択する画面で、用意したUSBフラッシュメモリを選択します。
これで実行すると、WindowsPEでEaseUS Partition Masterを起動させるためのUSBフラッシュメモリが制作されます。
5.回復ドライブ作成手順
今回は、色々とトラブルがあって幾度かクローンを行いましたが、最初は午前11時頃に開始して、15時頃に終わりました。
クローン後にドライブ名を調整しました。
Windowsが入っているドライブ、後にCドライブになるドライブに『WIN10』という名前を付けました。どれがCドライブになるべきドライブであるかわからなくならないようにする工夫です。
とりあえずSSDは換装まで使わないので外しておきます。
SSD換装を実施する前の状態、原状での回復ドライブを作成します。
【参考】富士通:[Windows 10] 回復ドライブを作成する方法を教えてください。
使用したUSBフラッシュメモリはごく普通のもの、32GBの安物を使いました。
KIOXIA(旧東芝メモリ) USBフラッシュメモリ 32GB USB3.2
1本1千円未満の32GB・USBフラッシュメモリです。 サイズは非常にコンパクト、キャップが付属しています。ストラップループが付いているので無くさないようにしたければストラップも装着可能です。 今回は回復ドライブとして使うので、ストックしておく上でコンパクトな物が良く、持ち歩く事もないのでこれで十分でした。HDDと一緒に、SSDが入っていた箱に入れて保管しておけます。 |
6.SSD換装
既存のHDDを外して、SSDに換装します。
ACアダプタを抜いて、バッテリを外します。
筆者の勝手なイメージですが、背面(底面)のカバーを外せばHDDが現れて、簡単に交換できると思っていましたが、この機種(AH77)背面(底面)カバーを外す必要はありませんでした。
背面(底面)にはメモリ交換用のカバーがあるので、そこを開いてメモリ交換しました。この作業は1~2分あれば終わります。
このパソコン(AH77)は表面のキーボードを外す事でハードディスクを取り出すことができます。下図の赤で囲った部分を外すことができます。
ニトムズ テープはがしカッター
本来の使い方はステッカーなどを剥がすための物ですが、ここでは嵌合しているパーツを外すための器具として使用しました。 非常に狭い隙間に入っていくので扱いやすいですが、使い方を誤れば電線を切ってしまう可能性もあります。 |
キーボードを外すときに注意すべきは、コネクタの取扱いです。
開けると、下図のようになります。中央にあるのがハードディスクです。
ハードディスクはネジ留めなどはしていないので、簡単に引っこ抜くことができます。落とした時に怖いと思いますが。
外した場所にSSDを挿入し、装着します。
ここまで終えたら、本体を元に戻します。
7.起動順
キーボードの『F2』キーを押しながら電源ボタンを押して起動するか、電源ボタンを押してから『F12』キーを連打するかのいずれかで、ビープ音がするのを待ちます。
その後、BIOS設定画面が開くので、起動順の1位にSSDを設定します。
方法は、SSD(今回であればEVO 870)にカーソルを合わせて、キーボードの『+』(プラス)キーを押すと順位が上がります。
設定を終えたら『F10』キーを押して、変更を保存して終了します。
8.SSDから起動[失敗]
SSDはHDDのクローンなので、このままでも起動するだろうと思い、とりあえず電源を入れてみました。
何らかの暴走が起きたときのためにバッテリは接続せず、ACアダプタで起動して、問題があれば線を抜いて止めようと思いましたが、火事になるような問題は起こりませんでした。
黒背景に白文字で『FUJITSU』と表示されましたが、Windowsは起動しませんでした。
ここまでの動作はWindows Preinstallation Environment(Windows PE)で動作するので、Windows 7やWindows 10などが無くてもここまでは動きます。
9.よくある手段を試す
まず試したのが、コマンドプロンプトから下記コードを入力しました。
bcdboot C:\Windows /l ja-jp
これで再起動しましたが、失敗しました。
再びコマンドプロンプトを開いて別のコードを試しました。
まずドライブを確認します。
x:\sources\recovery>
x:\sources\recovery>diskpart
DISKPART> list volume
上記の例では Volume 1 がブート領域なので、そこにドライブレターを付けます。
DISKPART> select volume 1
DISKPART> assign letter=b
DISKPART> exit
Windowsを起動できていないので下図のように見る事はありませんが、もしWindowsが起動した状態でDiskPartからドライブレターを付けると、隠しドライブが可視化されます。
次に復旧コマンドを入力します。
『cd』は選択するディレクトリ名の指定です。間違えてしまった場合は『cd ..』と入力すれば1つ上のディレクトリ(フォルダ)に移動します。
B:> cd b:\EFI
B:\EFI> cd \Microsoft
B:\EFI\Microsoft> cd \Boot
B:\EFI\Microsoft\Boot> ren BCD BCD.bak
B:\EFI\Microsoft\Boot> bootrec /Rebuildbcd
B:\EFI\Microsoft\Boot> bootrec /fixboot
B:\EFI\Microsoft\Boot> bcdboot c:\Windows /l ja-JP
ここで注目するのが『Windows のインストールのスキャンに成功しました。』という後に『Windows のインストールとして認識された合計数: 0』というゼロの数字です。
必要なファイルがゼロ、ファイルが無かったということなので、何も起こりません。
10.USBから起動
SSDで起動できなかったので、先ほど作成しておいた回復ドライブ(USBフラッシュメモリ)を使う事にしました。
とりあえず、USBポートにUSBフラッシュメモリを挿入して起動します。
今回のパソコンで言うと、キーボードの『F2』キーを押しながら電源ボタンを押して起動するか、電源ボタンを押してから『F12』キーを連打するかのいずれかで、ビープ音がするのを待ちBIOS設定を変更します。
起動順をUSBフラッシュメモリに変更します。
この状態で起動するとUSBから起動することになりますが、これでも起動できませんでした。
11.USBの存在確認
表示された画面からトラブルシューティングを開き、コマンドプロンプトを開いてドライブの認識状況を確認しました。
最初に『diskpart』を入力しEnterキー、次に『list volume』を入力しEnterキーを押すと、下図のようなリストが表示されます。
今回はボリューム番号8、『I』(アイ)ドライブとして存在しています。
フォーマットは『FAT32』になっているので、ドライブのフォーマット方式としては問題ないと思います。
12.MBR再構築
EaseUS Partition Masterには『MBR再構築』機能があります。MBR(Master Boot Record)はディスクパーティション情報やOS起動情報が格納されています。
EaseUS Partition Masterを使う方法は3つあります。
1つ目は、換装中のパソコンではなく、適当なパソコン上で実行する方法です。
2つ目は、換装中のパソコンに元のHDDを装着してWindowsを起動、そこで実行する方法です。
3つ目はWindowsPE上でEaseUS Partition Masterを起動、そこで実行する方法です。
回復ドライブとして作成したUSBフラッシュメモリをパソコンに接続し、EaseUS Partition Masterを起動して『ツールキット』から『MBRを再構築』を選択し実行します。
13.起動成功
Windowsの起動の優先順位がUSBフラッシュメモリになっている状態にします。
MBR再構築後の回復ドライブが入ったUSBフラッシュメモリをパソコンに装着します。
パソコンの電源を入れます。
換装後に起動しない場合の原因候補
クローン失敗
元のHDDからSSDへのクローンができていなければ起動しません。
接触不良・接続ミス
SSDをパソコンに装着する際に、しっかりとコネクタが噛み合っていないとSSDとの通信や電源供給ができません。
OSを見つけられない
パソコン本体はHDDやSSDが無くても最低限の起動を試みます。その後にWindowsの起動に必要なファイルを見つけて、よく見るWindows起動画面に至りますが、その起動ファイルを本体が見つけられなければWindowsは起動できません。
今回の課題はこのWindows起動ファイルの所在不明に関係しています。
EaseUS Partition Master
EaseUS Partition Masterの使い方について、下記サイトを参考にしました。
調べたサイト
おわりに
今回はWindowsが起動し使えるようになるまで10分以上かかり、Wordなどを使っても落ちてしまい手戻りが発生するなど環境が悪くなってしまったのでSSD換装を実行しました。
途中経過として、クローンSSDが起動しないというアクシデントがありましたが、上述のとおり解決しました。
結果として20秒くらいでWindowsが起動するようになり、もし急遽Zoomでミーティングすることになっても1分くらいで準備できることができるようになりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。