★今日の課題★
社団法人の公式サイトを、将来のことまで考えて立ち上げる
間借り or 自前
ご覧頂いている AmpiTa のウェブサイトは『ampita.net』という独自ドメインを取得し、運用しています。
ウェブブラウザのURLを見るとわかります。
例えば、下記のアドレスは『jimdofree.com』が独自ドメインで、その前にある『amananren』はサブドメインです。
ドメインは買うものですが、サブドメインはドメインを持っている人が勝手に作る事ができます。いわば無料で増殖できます。
Yahoo!JAPANでは、コンテンツ毎にサブドメインを設定しています。『yahoo.co.jp』という独自ドメインは1つです。その前に付いている『travel』『transit』『news』が付く事でサブドメインになります。
Yahoo!の場合は、どのサイトにアクセスがあったとしても、すてべはYahoo!に帰属します。
検索ロボなどには『yahoo.co.jp』には優れたコンテンツがあると認識されます。
このSEO対策を考えずに、タダで使わせて貰えるからとサブドメインでウェブサイトを育成している団体が散見されるので、もったいないなと思っています。
サブドメインではなく、さらにもったいないことをしているのが学会のサイトです。
例として、第34回日本臨床工学会を見てみますが、他の学会も同様です。
この学会は福井県臨床工学技士会が仕切っています。
ネット検索では『笹氣出版印刷』という名称が表示されるように設定されています。
この学会には3,000人くらいが参加申し込みをすると考えると、ある1カ月くらいに3,000件のアクセスは期待できます。
今回、サブドメインではなく『sasappa.co.jp』の下層にあるディレクトリ内に学会サイトを開いているので、いろいろとたちが悪いと思います。
これを福井県臨床工学技士会の公式サイトの下に置くか、サブドメインを使っていれば、福井県臨床工学技士会へのアクセスを稼ぐことができ、今後のZoomでの勉強会に参加者を募る際の検索性向上に役立ったと思います。もったいないです。
独自ドメイン
サブドメイン
サブディレクトリ
2023年3月に閉局したFM尼崎は、5月からクラウドファンディングを開始し、10月に『みんなのあま咲き放送局』として再スタートしました。
この局の公式サイトが、クラファンから開局までの約半年間も、開局後の数か月間も、まったく活かされていないので、もったいないなと思いました。
番組内では『まいぷれ』を開いて、そちらからリクエストなどを送るように仕向けています。
この『まいぷれ』は『mypl.net』の独自ドメインをどこかの会社が持っており、そこのサブドメインとして『amagasaki』というものが付いたウェブサイトが構築され、その中のディレクトリ『article』に設けられたサブディレクトリ『mab-820_amagasaki』が、このFM局のウェブサイトのポータルページになっています。
www
├ myll.net
├ akashi.mypl.net
├ kakogawa.mypl.net
├ itami.mypl.net
├ (そのほか多数)
├ amagasaki.myll.net
├ service
├ live
├ join
├ link
└ article
└ mab-820_amagasaki
├ 79109
├ 79207
├ 79457
├ 79456
├ 79455
├ 80862
└ 82177
この『mypl.net』がFM局のものであれば、何ら問題ないと思いますが、もし他社の物であり、広告料なども貰えないのであれば、他人に利益を与えているだけになります。
このFM局では『サポーター』を募集していますが、その返礼が『バナー掲載』や『HP掲載』となっています。
- 特別協賛会員 50万円/年 バナー掲載
- 特別賛助会員 30万円/年 HP掲載
- 法人サポーターA 10万円/年 HP掲載
- 法人サポーターB 5万円/年 HP掲載
- 法人サポーターC 3万円/年 HP掲載
上記のように掲載されているのですが、その階層の深さは下記のとおりです。
まいぷれ
└ 尼崎
└ つながる
└ みんなのあま咲き放送局
└ サポーターについて
└ ここにサポーター名・バナーを表示
もし、会社の広告宣伝としてサポーターになるのであれば、広告宣伝の価値は高く無さそうです。
本当にサポーターとして応援しています、ということに限りそうです。
FM局の事業継続計画(BCP)を策定する場合、脅威分析でこのウェブ管理は引っ掛かると思います。
新規のリスナー獲得、リピーターのリスナーをつなぎとめるツールとしてウェブが重要であった場合、この『mypl.net』が廃止されたとき、そのツールを失う事になります。再構築はできますがゼロスタートです。
それ以前に、Google Analyticsなどを使ったサイト分析ができなにのであれば、サイトの育成ができませんし、ラジオリスナーの属性調査できるツールをあえて失っていることになります。
FM局のオリジナルグッズを公式サイトで販売しようと考えた場合、リスナーはラジオで告知したとおりの方法で買ってくれると思いますが、ネットからの誘導には難渋すると思います。
この mypl.net の下層にレジ機能まで設置することができたとしても、色々と課題があります。
そもそも、検索で上位に表示されるために広告を出稿してサイトを育成するくらいなので、サーバやドメインの費用くらいは簡単に捻出できると思います。
Google広告で1日10クリックを目指すと、1日100~300円くらいかかるので、365日で10万円くらいかかる可能性があります。
ラジオのリクエスト等で1日10件以上の訪問があるサイトであれば、年間10万円以上の価値があると言えます。
SEO条件
Googleなどの検索エンジンがどのような条件でサイトを選抜しているか明かされていませんが、ユーザーフレンドリーな構成であることの確認は行われているようです。
後述するWordpressは、SEO対策に優れていると言われ、例えばパソコン用とスマホ用の画面切替え、ページサムネイル(アイキャッチ)画像の配置、サイトマップ構築などが半自動的に行われる仕組みになっています。
間借りしているサイトでは、そのサイト構築者のオリジナルになるので、検索ロボからみれば初見、型通りに情報を得る事ができないサイトとみなされる恐れがあります。
データベース
間借りしているウェブサーバでは、データベースを構築することは難しいです。
MySQLを使えば、下記のような一覧表を埋め込むことができます。
これは、単に表(table)を描いているというものではなく、データベースを構築しているので並べ替えなどに対応しています。
データベースを活用すると、下記のように独自の検索機能を設けることもできます。
社団法人が独自のデータを持っていれば、それを公開する際にはSQLサーバを使えるか否かは重要になります。
例えば、会員企業のリストを公開するという場合にも、単に表を載せるだけよりも、業種や所在地で絞れるように下記のような検索・絞込機能が使えることは有意義です。
災害時対応も
今回は社団法人にフォーカスしていますが、社団の目的は様々ありますので、そのサイトも様々です。
近年、自治会を社団法人化する動きが見られます。
そのメリットは様々です。
任意組織であれば、一部の役員が自治会費を飲食などに使ったとしても、横領などには該当せず、関係者同士の民事での争いのみになります。
その程度の組織であるということは、お金を借りる事もできません。
自治会館を建てたいと思っても銀行はお金を貸してくれませんし、パソコンやコピー機などのリース契約も難しいです。
社団法人化することで、資金を勝手に使えば横領罪にも問えますし、収支計画がしっかりしていれば借入も可能かもしれません。
前置きが長くなりましたが、組織の盤石化を目指し社団法人化すると考えた場合、その組織が会員の安否を気遣い、また互助として支援や救援を実施する可能性があります。
自己の管理下にあるレンタルサーバに、独自ドメインで社団法人のウェブサイトがあれば、災害時に使えなくなるとすれば、その要因はレンサバの異常くらいです。
何段にも複雑化していないシンプルさ、相乗りしていないレンサバであればアクセス殺到にも耐えられやすくなります。
発災後は細かな情報発信も必要になります。
自己管理下にあるウェブサイトは、その役に立つ可能性があります。
独自ドメイン取得
独自ドメインを取得して、ウェブサイトを創り、ネットで公開する流れについては、以前の記事で紹介しています。
上記記事でも触れていますが、Goole Domainsが新規申し込みを停止しました。
Googleのウェブサイトで案内されるのが『SQUARESPACE』のウェブサイトです。
このサイトで、欲しいドメイン名を入力すると、取得可能なものがリストアップされます。
下図では『ampita』と入力しています。取得可能なものとして『ampita.org』『ampita.xyz』『ampita.me』などが候補されています。
詳細を記事で紹介しています。
ドメインはGoogle以外からも取得可能です。
方法は同じで、検索窓に取得したいドメイン名を入力すると、取得可能なものがリストされるので、そこから選択して申し込みます。
クリックして、申込者情報の入力や支払いを済ませれば、それでドメインの申込は完了です。
おそらく、数時間以内に取得できた旨の連絡が来て、そのドメインはあなたの物です。
【参考】AmpiTa:独自ドメイン取得(Google Domains) ⇒ WordPress公開(さくらのレンタルサーバ) 一連の流れ
レンタルサーバ
ドメインを乗せる器として、サーバが必要です。
一般的にサーバは自前ではなく、レンタルです。レンタルサーバ、略してレンサバなどと呼ばれています。
筆者は『さくらのレンタルサーバ』を利用しています。
他社さんでもまったく問題ありません。さくらインターネット以外でよく聞く名前としてGMOやカゴヤ、Xサーバ、ロリポップなどがあります。
さくらのレンサバにはいくつかの契約プランがあります。個人でブログなどを管理するのであればスタンダードプランでも良いと思いますが、組織や団体でウェブサイトなどを管理するようであればビジネスプランがお勧めです。筆者の契約は『ビジネス』です。
ライト | スタンダード | プレミアム | ビジネス | |
WordPress | × | ○ | ○ | ○ |
独自ドメイン | ○ | ○ | ○ | ○ |
商用利用 | ○ | ○ | ○ | ○ |
サーバ容量 | 100GB | 300GB | 400GB | 600GB |
年額 | 1,571円 | 5,238円 | 15,714円 | 26,191円 |
月換算 | 131円 | 437円 | 1,310円 | 2,183円 |
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
PHPモジュール | - | ○ | ○ | ○ |
無料SSL | ○ | ○ | ○ | ○ |
MySQL | - | ○ 50個 | ○ 100個 | ○ 200個 |
メールアドレス | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
メアド別 容量上限 | 10GB | 300GB | 400GB | 600GB |
ドメイン別 メール個別受信 | - | - | - | ○ |
この記事ではWordpressでウェブサイトを構築する予定なので、Wordpress非対応の『ライト』は候補から除外されます。
ウェブサイトの容量が大きくなる予定があれば、容量で選択しますが、一般的な『お知らせ』や『ブログ』などであれば、画像を適切なサイズに変更してから掲載していれば1記事あたり10MBも行かないので、年間100記事アップしても1GBです。
コミュニティラジオ局のように、1日に数番組放送して、それぞれにブログをアップするとなると、10番組あれば10倍、すなわち年間10GBになります。
容量で言えばスタンダードプラン(300GB)で十分に足りると思いますが、あとは運用です。
特に重視するのが『ドメイン毎の個別受信』です。
ドメイン毎のメール個別受信で契約プラン決定
『ドメイン毎の個別受信』について説明します。
当サイトのドメイン名は『ampita.net』ですが、同じサーバには『ampita.jp』も存在します。
いずれのサイトにも『info@』から始まる代表アドレスがあります。
- info アットマーク ampita.net
- info アットマーク ampita.net
このように、アットマークの前が同じ文字の場合、さくらのスタンダードプランですと、同じメールアカウントにメールが届いてしまいます。見た目には異なるアドレスであるにも関わらず、受信時には一緒くたにされてしまいます。
それを避けられるのがビジネスプランです。
当サイトで言えば『ampita.net』と『ampita.jp』の管理者が別々に居て、それぞれが『info@』のメールアドレスを持ち、それぞれ別々に管理することができているのは、契約が『ビジネス』であるためです。
多人数で管理する、それなりの大きさの組織であれば『ビジネス』で契約することをお勧めします。
ドメインとサーバの用意のあとはネームサーバ変更
独自ドメインとレンタルサーバが同じ会社、ここで言えばさくらインターネットで契約した場合は、1つのコントロールパネルの中ですべての操作ができるので、ここは読み飛ばして大丈夫です。
レンサバとは異なる他社で取得したドメインを、レンサバに登録するためには諸設定を求められます。
ネームサーバの変更は必須だと思います。
レンサバの設定の前に、ドメイン側の設定を実行します。
独自ドメイン提供の会社以外で運用するので、ドメイン管理画面で『カスタム ネームサーバーを使用する』といった設定を行います。
今回は、筆者が利用している『さくらのレンタルサーバ』が指定するのものを入力します。
- プライマリネームサーバ:ns1.dns.ne.jp
- セカンダリネームサーバ:ns2.dns.ne.jp
これを登録すれば作業は完了です。
ネームサーバー変更が反映されるまでに時間がかかる事もあります。
[Link] さくらインターネット: 他社で取得・管理中のドメインの設定方法, ドメイン/SSL, レンタルサーバ
さくらのレンサバでドメイン設定完了
さくらインターネットには会員ログインに大きく2つの入口がありますが、今回は支払等の窓口ではなくさくらのレンタルサーバ『サーバコントロールパネル』という方です。
ログイン時に”****.sakura.ne.jp”を使い方と言うとわかりやすいかもしれません。
レンサバにドメインを新規追加します。
コントロールパネルの左メニュ-にある『ドメイン/SSL』をクリックし、開いた画面から『ドメイン新規追加』をクリックすると『ドメインを新規追加』画面が開きます。
画面下方に移動すると再下段に『他社で取得したドメインを移管せずに使う』という枠があるので『追加』をクリックします。
『他社で取得したドメインを移管せずに使う』画面が開くので最上段の『他社で取得した独自ドメインの追加』窓に先ほど取得した『****.me』などと入力して『追加』ボタンを押します。
上記でドメイン登録は終わったはずです。
保存ボタンを押して10秒程待つとレンサバにドメインが追加登録されて一覧に表示されます。
登録直後はWEB公開フォルダがデフォルト(www直下)になっているので、使用するまでに任意のフォルダに変更します。
独自ドメインでWordPress
独自ドメインの取得やWordPressでのウェブサイト構築については以前の記事をご参照ください。
【参考】Squarespaceでドメイン取得・さくらのレンサバに搭載
おわりに
今回は社団法人や協議会、自治会などの各種団体の公式ウェブサイトについて、独自ドメインで自己管理しないと勿体ないのでは、という話題に触れました。
ドメイン維持に年間2~3千円、サーバの維持費とあわせても1万円にも満たないので、多くの組織が独自ドメインとレンサバを持つことができると思います。
閲覧者を集められるようになったのちのことを考えると、この程度の費用は自己負担しておいた方が良いと思います。
様々な所で間借りしているような、ごく簡単か管理も難しそうに言われて他社の利益につながる仕事をタダでした上に、謝辞まで述べているケースがありますが、利益を吸い上げられていることに気づいたのちは、不仲になることもあるので、早めに気づいて管理方法を変えた方が良いのではないかと思います。
独自ドメイン取得やWordPress管理については、別途記事を書いていますので、必要な方々はご参照頂ければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。