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医工連携・事業化推進

営業の件数と成功率 ~今日の課題~

★今日の課題★
電話営業する件数が増えると成功率は上がるのか?




新聞記事

 新聞記事を読んでいて、ふと思いました。

 連絡先情報を盗んだという記事ですが、その目的を『成功率を上げるため』としていました。

 連絡先が1件増えると、成功率はどれだけ上がるのか、考えてみました。




営業成績ゼロ

 電話営業の10件目で、1件目の成約が取れれば成約率10%です。
 ただし、1件目から9件目の電話の時点では成約率0%です。

 成約率0%の人は、とにかく電話をかけて1件成約できれば、0%よりは成約率が高くなります。

 1,000件目で初成約となれば、成約率は0.1%ですが、0%と比較して無限大に大きな数字になります。




成約率100%

 電話営業1件目でいきなり成約が取れれば成約率100%です。ビギナーズラックでも、狙い撃ちでも、とにかく1件目で成約できれば100%の成績です。

 そのあとが問題です。
 2件目も成約できれば、成約率100%を『維持』できます。

 2件目の電話では失敗となれば成約率は50%に下がります。
 3件目の電話でも失敗となれば成約率は33%に下がります。
 4件目の電話でも失敗となれば成約率は25%に下がります。

 5件目の電話で再び製薬が取れれば成約率は40%、直前の25%より上昇しますが、最初の100%より低い成約率です。

 元の成約率が高ければ、それを挽回することは容易ではありません。
 成約率100%の人は、100%を維持することがあっても101%にはならないので、可能性としては成約率低下に傾きます。




成約率1%からの営業電話

 1日100件、10日で1,000件の電話をかけて10件の成約を取ったとしましょう。10÷1,000で1%の成約率です。

 11日目、1,001件目が成約なら成約率1.0989%、失敗なら0.9990%です。

 1,002件目で11件目の成約を取ると1.0978%、失敗なら0.9980%の成約率です。微増・微減です。

 11日目の終わり、1,100件目の電話で11件目の成約を取ると成約率は1.0000%、失敗なら0.90909%の成約率です。

 1,100件の電話を終えて、成約件数が10件の人が、成約率を1%にするためには、次の1,101件目以降1,200件目までの100件の電話で2件の成約を取る必要があります。
 トータルで見ると1,200件で12件の成約は1%の成約率ですが、短期で見ると100件で2件なら成約率2%です。
 ちょうど100件の電話で2件なら2%ですが、途中で成約すれば2%以上の成約率です。




成約率0.5%から1.0%へ

 1日100件の電話を架けていた人が20日で2,000件の電話営業を終えて、成約できたのが10件だとします。成約率0.5%です。

 会社からは『成約率1%』をノルマに掲げられているとします。

 ここから連続10件の成約をとって成約件数が20件になっても、架電回数が2,010回になってしまうので成約率は0.995%です。残り90回の架電で1件の成約、1.111%の確率で成約しなければなりません。過去20日の成績が0.5%の人に、1.111%の確率で成約しろというのは酷な話です。

 元に戻って架電2,000件で成約10件の成約率0.5%から、成約率1.0%への道のりの険しさを見てみます。

 2,001件目の架電から急遽2%に成約率が上がったとしてシミュレーションします。
 50件に1件の割合で成約できるので1,000件架電で20件の成約です。
 1~2,000件目までで10件成約、2,001~3,000件目で10件成約、全体では3,000件で20件の成約なので0.666%の成約率です。
 このままのペースで4,000件目まで架電すると40件の成約、やっと成約率1%です。




架電件数より営業ノウハウ

 成約率が0.5%の人が、急に成約率2%の営業ができるようになるのは奇跡的かもしれません。

 数字だけで言えば、成約率0.5%の人が架電件数を増やしても、成約率を上げることは難しいです。

 営業ノウハウを磨けば、成約率は上がる可能性があるので、架電件数を増やすことと本質的に違います。




成約には架電が必要

 営業力が上達し、高確率で成約できる人材になったとしても、営業先が無ければ成約も在りません。

 『成約率を上げるため、1件でも多くの連絡先が必要だった』というのは、架電先が無ければ営業力を発揮できない、土俵に立つという意味での『1件でも多くの連絡先が必要』ということかなと思います。

 『1件でも』という部分については『10件の成約を取るために100件は連絡先が必要だった』という具体的な数字が存在していたのかもしれません。




営業成績は件数・金額

 一般的に営業成績というと件数か、金額で示します。

 住宅や自動車のように1件の金額が大きく、個人が生涯で数回買うかどうかといった物の場合、件数に意味があります。

 会社の健全性はキャッシュフローに関わるので、やはり営業成績は金額が重視されます。
 営業報告では『売上○億円、粗利で○千万円』といった数字を示します。この粗利の中に自身の報酬(給与)も含まれる訳ですから、見合った営業成績が必要になるということになります。

 成約率100%の社員が居ても、利益を生み出さないのであれば会社や他の社員にとっては不利益かもしれません。成約率を重視するマネジャーは居ないのではないかと思います。




広告は成約率も重要

 営業マンの成績としては売上高や利益が重要になりますが、広告の場合は少し見方が違います。

 新聞折込広告を10万部発行し、それが売上にどれだけ貢献したのかは重要になりますが、広告を見て来店した人数など売上直結の数字以外も評価されます。

 ある地域には広告を入れても来店率が低いのであれば広告発行の除外地域にするかもしれませんが、広告部数に対しての来店率が低くても成約率が高いお客さんが来店するのであれば、広告を発行した方が良いかもしれません。

 近年はネット広告が主流なので、広告を見てからの行動を分析しやすくなっています。
 墓石を売るのに20歳代をターゲットにしても仕方ないですし、スポーツカーを70歳代に勧めても買って貰えないと思います。

 事件の不動産営業ですが『老後の資産形成』『投資用マンション』がキーになっているので、相応の年齢と収入がある人をターゲットにしたいと思ったがために、名刺データが欲しくなったのだと思います。ターゲットを絞った営業は、成約率向上に有用であると思います。

 数日前には若年層をターゲットにしたマルチ商法で『マッチングアプリ』を使い候補を集めていた事件が報道されました。

 何らかの典型に嵌る人は、その典型から狙われやすいかもしれません。




成果型

 今回は成約率にフォーカスして違和感を解消しました。

 優秀な営業人材は、成約率が高く、無駄な動きをしていないかもしれません。無駄な動きはしませんが、成約の秘訣たる行動はたくさんしているかもしれません。

 ゴルフ、テニス、キャンプ、ツーリング、美術鑑賞など多趣味であり、そこから人脈を拡げたり、話題を豊富に仕入れたりして営業に役立てているかもしれません。

 不動産営業などでは、成果報酬型でフリーランス的に働いている人も少なくないです。
 手数料30万円の物件を月5件成約できれば売上150万円、その半額が報酬といった契約を会社と結びます。
 月収75万円あれば、それなりの生活ができると思います。この成績を維持できる人であれば、月5件の成約のために生活スタイルを合わせることになります。




生産性

 会社員であっても、営業職の場合は成果報酬を貰える場合が多くあり、反対に言えば成績が悪い人は低賃金になります。
 海外ですと、自前で秘書を雇い、自らは本業に専念するということも許されますが、日本では、本人のデスクに他人が座っているということに違和感がありますし、電話に出るのが本人以外という時点でもアウトかもしれません。
 生産性重視であれば、事務処理はアウトソースでも良いと思います。月収75万円、内25万円は秘書の給与、自身の給与は50万円で手取りが30万円だとすれば並みの生活はできます。一見すると月収30万円は少ないですが、月10日ほどの稼働、実働時間は月40時間ほどで必要な営業成績を収めていたとすれば、週40時間労働の人の4倍ほどの生産性になります。

 話題に挙げた『成約率』ですが、そこだけ重視されるのであれば、確度の高い相手とだけ接すれば良いので、人間関係を構築しながらゆっくりと営業する、もしかすると生産性が非常に高い仕事なのかもしれません。
 やたらと架電しても『成約率』が上がるものではないので、やはりスキルやノウハウが活きてきます。




筆者の生産性

 筆者の生産性は低いと思います。

 例えば、管理下にあるネット通販サイト(ECサイト)の売上を見てみると、ゼロです。
 ECサイトを構築し、商品を陳列し、また商品群を在庫しても売上ゼロでは生産性ゼロです。中には独自に開発や制作した商品もあるので、その工程すべてがカネに変わっていない訳ですから生産性が低いと言わざるを得ません。

 YouTubeは毎日視聴者様が居られるので、何十円かの収益にはつながっています。新しい動画が無いと再生回数は落ちるので作り続ける必要がある、それの対価は積み上がっても数百円となると、時給換算すれば最低賃金の半分にも満たないです。事業としては成立しないです。




おわりに

 今回『成約率』という言葉に引っ掛かったので、数字を並べて確認してみました。

 成約率が低い人材が、架電件数を増やしたところで率は上がらないのではないか、というのが結論かなと思います。率がゼロでない限り、たくさん架電すれば成約件数は増えると思いますので、フォーカスすべきは率より数かなと思います。

 最後は生産性の話題に及びましたが、よく『日本人は生産性が悪い』と言われてしまうので、そこはよく考えなければならないなと思います。
 一方で、器用さもあるのが日本人かなと思います。
 何でもキレイに仕上げて納品という気質が『そんな面倒なことしなくても納品できる』と考える人と、『このくらいのことは簡単なので』とやってのける人、ひと手間を苦に思わないのが日本人気質なのかもしれないので、そこは大切にしたいと思います。

 とはいえ、筆者は生産性が低いので、改善点を洗い出したいと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

解決

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