『身構えない訓練』とは、文字通り身構えずに訓練する、気づかずに訓練に参加してしまっているというものです。
身構えて行う訓練の代表格『避難訓練』は義務教育の期間中に幾度も経験していると思います。
一方で消火訓練は一部の選抜された児童・生徒に限られたり、そもそも実施しない学校も少なくありません。
消火器や消火栓を使った消火活動には、一定のスキルが求められます。
このスキルは見様見真似では難しい部分があり、特に時間との勝負という面もあるので経験が重要になります。
消火活動には訓練が必要です。
避難訓練は!?
避難経路や手順を覚えるために避難訓練を実施する意義はあります。
特に雑居ビルなどではフロアー毎に管理者や入居者が異なるため、上階から地上への避難時に思わぬ障害があるかもしれません。
学校での避難訓練にも意味はありますが、日頃から使っている廊下や階段を使って教室から校庭へ移動するというだけであれば、わざわざ避難訓練と身構えなくても実施可能です。
例えば全校集会の集合時に、クラス毎に移動するといったことでもできます。
用意されたシナリオどおりのマニュアル的な避難訓練に潜む課題は、想定外への応用力が身に付かないことです。
もしかすると小中学校では『子どもだから』と平易な方法を選択しているかもしれませんが、本当に子供の生命を守りたければあらゆる状況に対応できる能力を身に付けさせる必要があります。
昼休みで全職員が教室から離れているときに、中間階で火災が発生して職員が教室まで行く間にも煙が上階に充満してしまうという状況があったとします。
このときに『先生が引率するまで待つ』というマニュアルしか知らなければ、子供たちは生命を落とす可能性があります。
子供たちだけで自主的に避難する方法を身に付けていれば、職員室から『2階理科室から出火、北階段は使わずに避難せよ』と放送を入れるだけで子供たちは安全な階段を選んで避難できるようになると思います。
日常的に行う『身構えない訓練』
日程を決めて『これは訓練です』と言われて行う訓練は受動的になり、あまり身に付かないという課題を抱えています。
一方で習慣となっていることは、形式を知らずとも暗黙のうちに身体が動き出すということもあります。
小中学校で下校前のホームルームを月1回、音楽室で開くとします。
ホームルームを終えれば、子供たちは音楽室から下駄箱に向かっていきます。
この月1回の小さなイベントにより、音楽室から出入口までのルートを1つ習得することになります。
専用室を用いる授業中に被災する可能性は否定できないため、図工室や理科室など場所を変えて行うことで様々な避難ルートを習得することになります。
私たちの開発品も
私たちが開発した多用途安否確認システム『AmpiTa』(アンピタ)は、『身構えない訓練』を実装しています。
安否確認システムなので『安』『否』の入力をするものですが、それを応用して、セミナーのアンケート調査に利用できます。
それ以外にも、コロナ禍で普及した健康観察システムのように『健康』『体調不良』の連絡に使うことも可能です。
時間に余裕がある平時の場面で使い慣れることで、非常時にも使えるようになるであろうと考えた『身構えない訓練』の実装事例です。
身構えない訓練
身構えて行う訓練が年に数回しかできないとすれば、そこで行われる訓練は厳選されます。
身構えずに行うことができる訓練があれば、少しずつでも取り入れていくことで、関係者のスキルが上がる可能性があります。
私たちは『身構えない訓練』の研究を進めています。