★今日の課題★
モノを撮るときに多用される白背景を、ウチにも環境整備できないかということで挑戦しました。
これまでは青背景
当方ではこれまで、青い撮影布を使った撮影をしてきました。対象物とのコントラストが得られて良いなと思っていました。
また、この青布をZoomなどのウェブ会議での背景として使うと人間を見やすくしてくれる感じでしたので積極的に使っていました。
白背景の必要性
ただちに白背景が必要という事では無いのですが、周囲からの要望としてはボチボチと出てきています。
大手通販サイト『Amazon』では、メイン商品画像の背景には『純粋な白』を求めています。
純粋な白とはRGBカラー値が 255, 255, 255 を具体的に指しており、電子データとして真っ白で無ければならないとしています。
検索エンジンで『扇風機』『自転車』など何らかの製品の画像を検索すると、上位の大半は白背景の画像です。
このようにして白背景を見慣れてしまうと、モノ撮りの際には白背景が『常識』になってきます。
[Link] Amazon seller central: 商品画像の要件
白背景の背景布
便宜上『背景布』としましたが、白背景を作るために使われるアイテムは布ばかりではありません。
- 布(織物)
- 不織布
- 紙
- プラスチック(樹脂)
上記はよく使われる背景の素材です。
布はマットな感じの木綿はテーブルクロスやベッドシーツなどにも使われているのでニトリなどで安く買えます。
折り目が付きにくいサテンやモスリンなどがあります。ポリエステルやナイロンなど合成繊維で織られた物が安価で手に入ります。
不織布は使い捨ての背景布として多用されています。特に白色は汚れやシワが目立つので使い捨ては便利です。
私は医療用のドレープ(覆い布)を使っていました。水色が多いのですが、比較的大きなサイズなので便利です。
エステサロンなどで多用されている不織布ベッドシーツも背景布に使えそうなのですが、COVID-19流行後は品薄が続いています。
更に安価で使い捨てる方法として紙があります。
100均でも買える模造紙は大きくて白い背景になりますが、薄いので光の透過には課題があります。
ケント紙や画用紙など、背景の質感を変えるために様々な紙を用意している人も多く居ます。
プラスチックシートは小さい物ですと100均でも売っていますが、撮影用となるとAmazonなどで買った方が良さそうです。
今回、これを調達してみました。
PVC背景布
検索キーワードは色々と試しましたが『PVC 背景布』『PVC 撮影』の2つが効率よく検索できた気がします。他に『プラ』『樹脂』『光沢』『ホワイト』など試しましたが『PVC』が良かったです。
実際に購入した商品は下図のようなものです。
保護フィルムを剥がす前の状態です。このフィルムを剥がせば撮影に使えます。
真夏のロール状で巻いた物が届いたのでクセが付いてしまうのは覚悟の上、時間をかけて伸ばしています。
シートを吊り下げた状態で放置して1か月、だいたい真っすぐになりました。
PVCの撮影用背景布 120cm x200cm ホワイト
PVCで出来た撮影用の背景布です。色はホワイトです。幅1.2mですので小物撮影には十分です。少し大きくなると16:9での撮影には不向きですが、1:1など写真を切り取って使うならば比較的大きな物まで撮れます。 |
モノ撮り
白背景で黒っぽい物を撮影してみました。
撮影してみてわかった事は、白背景ではあるが白色にはならないという事でした。
また、光沢のある背景布なので、不適切な照明が顕わになってしまいます。
撮影後に画像を修正してみましたが、背景が白に近づくものの、対象物も白っぽくなってしまい、画像は荒くなってしまいます。
ビデオライト
Amazonでビデオライトなどの名称で売られているバッテリ式のLED照明を何機種か調達しました。
単純にスイッチOn/Offしかないもの、色温度や強度を調整できる物など様々です。
いずれのビデオライトもバッテリ式なので置き場所には困りません。
ただし、光はさほど強くないので補助照明という位置付けて使っています。
Zoom会議等で自身の顔を照らすには良い照明でした。
動画撮影の場では、主照明があった上での補助照明として使うべきかなという感じです。
白い照明
次に調達したのが100V・100WのLED投光器です。Amazonで5千円程でした。
作業現場やガレージなどを照射するのに適した大型照明です。
これだけ明るいのだから撮影にも使えるだろうと思いましたが、上手くいきませんでした。
課題はいくつかあります。
まず明るさですが、光が強すぎるので影も強く出ます。
比較的狭い範囲を照射する感じなので中心が明るく、外へ行くほど暗いという特性が顕著に出やすいので撮影している画面内でも差がわかりやすくなってしまいます。
重いので、スタンドへの固定時に不安があります。
熱いので、撮影中に不意に触れるとヤケドするのではと心配になります。
カメラとの相性なのかわかりませんが、光源とレンズが近いと黒い線が入ってしまいました。
撮影用照明
色々と検討してきましたが、やはり撮影用照明が必要であろうという結論に至りました。
撮影用照明を大別すると、傘のような反射板が付いたタイプと、羽根のような物が付いた薄い四角形のタイプがあります。
価格としては傘タイプは1万円前後、フラップタイプは2万円前後といったところです。
色々と検索していく中で見つけたのが米国LINCO社製の撮影照明を見つけ、調達しました。
Linco撮影用照明
LINCO社は米国カリフォルニア州サンタフェスプリングスにあるスタジオ照明機器の専門企業です。
自社サイトで直販しています。
今回、下図にある電球が4個装着可能な撮影用照明を調達したいと思いました。
米国Amazon.comにも多数の商品が掲載されています。
基本的には日本への発送は行っていないようです。
そのような中で理想的な商品を見つけました。
電球4灯装着可能な撮影用照明が3台、モスリン背景布が3色とそのスタンドセット1組、ランプ12本、バッグがセットになった商品が日本へのシッピングにも対応していました。
しかも219.99ドル、約24,000円です。
これは買いだなと思いましたが、送料が123.4ドルなので13,500円くらいかかり、商品と合わせて37,500円程になります。
これだと予算オーバーです。
ランプ4灯タイプのLinco製品が奇跡的に日本のAmazonに掲載されていました。
前述のセットではなく照明器具単品、ランプなどは附属しないですが5千円で買えるという事で、早速調達しました。
高演色ランプ
前述のLinco社製の撮影用照明には電球が附属されていないので、同じくAmazonで探してみました。
キーワードは『高演色 E26』です。
高演色(こうえんしょく)とは、高輝度(こうきど)とは違います。
明るさではなく色を見ているのが高演色です。
手術室で使われる無影灯(むえいとう)には『血が血らしく見える』事が求められます。
様々な臓器や組織を扱う手術で、色味は重要になります。
このとき重要になるのが光源の演色性です。
詳しくは日本の無影灯シェアトップの山田医療照明のサイトをご覧ください。
もう1つのキーワード『E26』は電球の口金のサイズです。
昔から多用されてきた白熱電球(裸電球)の口金はE26という規格です。30年くらい前からE17のミニクリプトン電球などが増えましたが、未だに多くの場所でE26が使われています。
今回調達のLincoの照明器具も口金がE26でした。
色々と検索していくうちに1つの商品に当たりました。
明るさは100W型相当で光束1500lm(ルーメン)、色温度5000K(ケルビン)の昼白色、PSE認証済、そして演色指数80Ra超という物でした。
演色性の比較
演色性を比較する際、カラーサンプルの再現性などで説明する事もありますが、今回は手の色で表現してみました。
自然光を当てて撮影すると、手のひらは毛細血管の影響で赤っぽく映ります。これが対象物の自然な姿だとします。
演色性が高いとされる電球を使って撮影すると、似たように赤っぽく映りました。自然光ほど全体が赤い訳ではありませんが、悪く無いと思います。
次は、本稿でお示しした投光器での撮影です。
手は白っぽく映っています。画像は汚くないのですが、手の様子を再現できているかと言われると、違う気がします。
最後は天井照明です。
直管蛍光灯型のLEDですが、背景にはしっかり照明が映っています。手のひらは暗く映っています。対象物をしっかりと捉えていません。
対象物の色もしっかり伝えるためには、高演色性の光源を使た方が良さそうです。
そして、今回買った6球で2千円程の電球でも、白色LEDよりは演色性が高い事が示唆されました。
この電球を使って、撮影をしたいと思います。
撮影セットアップ
照明のセットアップは簡単です。
まず、撮影用照明キットは三脚、灯具、傘の3点で構成されているので、灯具に傘を取り付けます。次に、灯具を三脚に取り付ければ形になります。
灯具は電球が4灯設置可能です。
私は今回、電球を1つずつ取り付けて明るさを確認、最終的には4灯必要だとわかりましたが、撮影場所の様子も見て決めると良いと思います。
電球を取り付けて点灯させ、試写すれば作業は完了です。
実際の撮影
同じものを似たような角度から撮影してみました。
下の2つの画像はどちらも無修正です。
下の画像はモノ撮りをしてみた結果です。
背景は真っ白ではないのですが、無地の白であることはわかると思います。
黒い本体はやや暗くて撮影失敗という感じがしますが、箱の方はそれなりにキレイに撮れているように思います。
ストロボを使っていないので反射が無く、光のムラも少ないと思います。
Adobe PhotoShopの使い方に慣れていないので若干加工が悪いですが、概ね色修正によって背景は真っ白にできそうです。
今回の調達品
白背景での撮影で必要になり、実際に調達したのは下記の3点です。
PVCのビニル系背景布はシワができず、明るさもあって取扱いやすい白背景でした。
Lincoの撮影用照明は同類の中では安い方ですし、E26の汎用口金が4つも付いている点は重要なポイントでした。
そして電球は100W型で演色性の高い物を見つけました。本当に100W型を名乗るほど明るいかと言われると微妙ですが、6本で2千円という安さもあり、今回の撮影に必要な明るさは確保できたようなので満足しています。
今回は白背景での撮影にフォーカスして検討しました。
ビニル系の背景布が良かったです。
照明は米国Linco製の器具が良かったです。
電球はAmazonで安価な物を買いましたが、意外と良かったです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。